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 とりあえず勇者と魔王が動いて生き埋めになった人達を助けた。私? いやいや、私も動こうとしたよ。一応私だって人の心はある。実際こんな世界の原住民が死のうがどうがどうでもいいけど、仲良くしといて損はないしね。けど結局私は動かなかった。というか動けなかったと言う方が正しい。なにせ……


ギィ――


 とちょっと動くじゃん。


「「「うあああああああああああああ!!」」」

「「「きゃあああああああああああああああああああ!!!」」」


 という事になる。皆さんパニクるんだよ。これじゃあヘタに手助けもできない。まあ魔王も勇者も超絶強化されてるし、自分を超える瓦礫さえ片手で持てる程だ。実際、パニクるよりも大人しくしてる方が私は良いと判断したんだ。けど、何もしてないって訳でもない。私はこの世界のこの街を観察してるんだ。しかも詳細にだ。なにせG-01には優秀なセンサーとそして色々と分析が得意なAIがある。

 何も動かなくても、情報を集める事は出来る。


「どんなかんじなの?」

『この世界の『力』は『ジェルルランジ』です。活溌で感受性が強いジェルルランジは強い生命体を生み出します』

「つまり、この世界の人達は強いって事?」

『勿論、今の勇者や魔王には及ばないですが、素人の頑強さや、生命力ではなかなかのものでしょう。あの程度の生き埋めでも死者はいないんじゃないでしょうか?』


 そんな事をいって、勇者と魔王が救助活動してる場所を大きく映し出す。確かになかなか悲惨みたいだけど……死者は居なさそうだ。まだ生き埋めになってる人達の反応もある。反応があるってことは生きてるって事だ。死んでても、まだ死んだ直後なら暖かいし、冷たい人はいない。あと他色々なセンサーで確認しても、大丈夫そう。後三分もすれば、二人が全員を助け出すだろう。


「見た感じ、なんかこの世界の人達は不思議な器官を持ってるね」

『力を蓄える事が出来るようですね。異常な生命力はその器官のおかげかもしれません』

「魔王と勇者の体にも変な器官あったのかな?」

『スキャンしてませんからね。確かめようがありません』

「そうだねー」


 きっと聞いても魔王も勇者も自分におかしな器官があるなんてしらないだろう。いや、知っててもそれがおかしいなんておもって無いと思う。てか魔王は魔王だから大体おかしいしね。あいつの体は参考にならない。なので勇者が候補に残るけど、聞いてもみても意味ない可能性が高いし、これからは世界を渡る度にでも確認するしかないね。


 色々と空気中の成分とか分析して、ここの人達の生活水準も推し量る。上下水道とかはないけど、ここの人鱈はなにかよくわからない物を使ってる。それが統一性なくて……よくわからない。なにあれ? はっきり言ってこの世界の……というほどにこの世界をまだ知らないが、少なくともこの街で作られたとは思えない物が稼働してるようだ。それはこの広場にある噴水の中央にある物。


 まるで銀河系の縮図みたいな変なオブジェ。それから延々と水が溢れてる。なにこれ? AIが解析してもわからない。そういうのがいくつかある。


「そっと触ればバレないじゃ……」

『やめておいた方が賢明かと』

「うぐ……」


 しょうがない、釘を刺されたしあとちょっと待っとくかな。そろそろ、ここの軍隊みたいな人達も到着して厄介な事になりそうだしね。

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