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5

 その日、アズバインバカラは慌ただしく、そして焦燥としてた。なにせ一番近い筈だったジャルバジャルが砂の下へと沈んだのだ。その報告は衝撃で、そして民衆の中には次はこのアズバインバカラではないかという不安でいっぱいだった。誰もが、関係ないなんておもって無い。次は我が身かも知れないと、誰もが知ってる。この世界では砂獣から逃れる術はない。どこに居たってその脅威は常にある。


「ちっくしょおおおお!!」


 そんな風に酒をあおり、テーブルにジョッキをたたきつけるむさ苦しい男。彼は背中に大きな斧を背負って体には軽装だが、要所要所に防具を着けている。そしてそんな奴らがこの酒場には集まっていた。


「どうして……ジャルバジャルに救援を出さなかったんだ!!」

「アズバインバカラを守るのは頷ける。だが、救援に割く人数くらいいただろ!!」


 そう言いながら、皆が皆、酒をあおってる。きっとやるせなさがあるんだろう。なにせアズバインバカラとジャルバジャルは関係系が深かったし、貿易も盛んだったんだ。それなのに……この街の上層部は救援を送らなかった。きっとジャルバジャルの住民達は裏切られたと思いながら、砂の下へと飲み込まれていったのだろう。その無念を思えば、飲まずには居られなかった。彼等はこの世界で砂獣から市民達を守る存在、賞金稼ぎの面々だ。


 そしてそんな彼等が恨み言をいうアズバインバカラの上層部も勿論、悲壮感におおわれていた。


「本当に……これで良かったのか?」


 そういうのは鮮やかな彩色がされたゆったりとした服に身を包み、頭にはターバンを巻いて服の居たる所で黄金のアクセサリーをつけた男だ。彼こそはアズバインバカラの街を治める男だ。彼はベランダに出て、ジャルバジャルの方向を見てそう呟いていた。その後ろには何人もの臣下が使えている。その中でも異質な黒いフードに体を包んだ小さな存在がしわがれた声でこういった。


「仕方なかった事なのです……彼等の犠牲のおかげで、これは実験は完成されました。この町は砂獣と砂を一掃できますぞ」

「出来なければ、困る。友を……戦友を私は見捨てたのだ。直ぐに実用化するのだ。出なければ、意味がない」

「それは勿論でございます」


 そう言って怪しく笑う黒いフードの人物。その笑い声に顔をしかめつつ、街を治める男は再びジャルバジャルの方をみた。そして気付く。


「あれは……なんだ?」


 彼の目には大きな何かが飛んで来てる様にみえた。

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