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 二人を力の限り殴った時、ボロボロだった腕が砕けた。走る傷みに歯を食いしばる。何故なら、これだけじゃダメみたいだからだ。


『通してください。二人に貴方の中にある姿を力を通して送るんです。二人はそれできっと自分の姿を形作れるでしょう』

「んーーーーーー!!」


 私は必死につなげた力を通して自分が知ってる二人の事を流し込む。私は二人をしってる。なにせ過去を見た。二人がそれを魂だけになって無くしてたとしても、私が再び与えてあげる!! だから勇者と魔王として、戻って来なさいよ!!


 曖昧だった二人の姿が固定されて行くのが見える……けどこっちも限界だ。リンクが切れて、私は内部の空間、自分の肉体へと精神が戻る。既に治療は始まってるのか、両手共に沢山のアームが伸びてきてた。


(力がはいらないよ……)


 G-01が落ちて行ってるのがわかる。


「ポニポニ! ポーポー!!」


 ポニ子がなにか言ってる。するとなんかちょっと暖かくなった。どうやらポニ子は私を覆う様に包み込んでくれてるみたい。もしかしたら傷の回復も早くなるのかな? でもそれよりも地面にぶつかる方がきっと早いだろう。ちょうど水のなかに落ちるなんて都合のいい展開はきっと無い。


 どうにかしたいけど、その力がない。


『世界が均衡を保てなくなっています。このままではこの世界は……』


 そんなAIの言葉もどこか遠い。どうやら私は頑張り過ぎたみたいだ。頑張って助けたんだから、早く助けに来なさいよ。そんな事を思ってると五月蠅い声が聞こえてたきた。


「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」


 次の瞬間、体が強引に持ち上げられる感覚に「うっ……」とお腹の中がひっくり返りそうになった。ちょっと女の子なんだからもっと優しく扱いなさいよ――とかおもったけど、そういえば二人とも私の姿はしらない。彼等にとってはG-01は見た目通りのごつい機械なんだ。ならこの扱いも文句はいえないかもしれない。


「ジゼロワン殿!!」

「勝手に死んでんじゃねえ!!」


 二人はG-01の機体を支えて肩の所をそれぞれ抱えてくれてる。モニターに映る二人の姿……それはなんか……いやとっても今までと違う。てかでかくなってるし……白いマネキンみたいなのと、黒いマネキンみたいなのがG-01を支えてる。


「なに……あれ?」


 私はちゃんと二人の記憶を送った筈だ。なのに復活したらあんな姿って……出来悪すぎじゃない? サイズから間違ってるよ? 


「おい……貴様勇者か?」

「そういう君こそ、魔王か?」


 どうやら今、二人とも自分たちの姿に気付いたらしい。


「「ど、どうなってるんだ!?」」


 ハモる二人の声。うーん、どうしたもんかこれ……

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