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「はあはあ……」


 私は荒い息を吐いてた。そして――


「がはっ! げほっげほ!!」


 ――更に咳き込んで赤い血を吹き出す。ちなみに左腕がもげてる。でも既に治療は始まってて、周りから集まってきたロボットアームがもげた左腕抱えて、ちぎれた部分に押し当てて、別のアームがなんかやってる。何か細い光を当ててるような? それを当ててると、次第に組織がくっついて行ってるようだ。まさか前もこうやって治されたのだろうか? 

 どうせなら内蔵も治して欲しい所だけど……まあきっと後でやってくれるよね。とりあえず痛みは鈍くなってる。だから……まだ戦える。事実フィードバックはあるが、G-01が大半は引き受けてくれてる。出ないと私は確実に今の爆発で死んでる。

 大体今の状態での感覚のリンクは百パーセントのシンクロ率な訳だけど、G-01の機能で酷すぎるダメージはきっとシンクロ率を一瞬切ってるか低くしてるんじゃないかな? でもG-01を動かす為には私の感覚が必要だから、結局はダメージをなくすって事が今の状態では出来ない。

 普段のモニター越しの操作なら、完全に感覚を切る事も出来るんだけど、今はよりG-01を感覚的に操作できる状態だ。ダイレクトに感じるからこそ、素早く反応できたりするんだもん。確実に格下相手なら舐めプしてもいいが、今の勇者と魔王にはこの状態でないと、一瞬でやられるだろう。


『大丈夫ですか?』

「死なないってのはわかってるでしょ……」


 AIの心配する声に私はそういうよ。別に嫌みじゃない。G-01は私の状態を常に監視してるし、システムの中に存在してるAIは私よりも私の状態を知ってるはずだ。なにせ私の正体だって知ってたんだしね。


「うぐっ……」


 まあ実際は死にそうだけどね。なんかかろうじて死んでないだけって感じ? 私がやられたと思ってるのだろう。二人は再びぶつかり始めた。私はとりあえず巻き込まれない所までゆっくりと下がる。なぜ私が無事なのか……そしてなぜ生きてるのに、勇者と魔王が勘違いしたのか。

 それは二人には私が見えてないからだ。そもそもが今の魔王と勇者は眼球で見てる訳じゃない――とAIはいった。確かに奴らには目がない。それは納得出来た。じゃあどうやって見てるのか……見てるのって表現が間違いだけど、奴らは力を感じてるのだ。

 私の力はこの世界と違うだからさぞかし見やすいだろう。爆発は事態は力を使って最大限に装甲を強化して耐えた。そして自身の周囲に、この世界の力に寄せた力の膜を作ったのだ。でも厳密にはその世界の力でも種類というか特徴はある。

 簡単に言うと、正義と悪みたいなね。だって勇者と魔王は同じ世界の出身だけど、それぞれが同じ力だとは思ってなかった。そういうことだ。だからそれらを復活した魔王と勇者それぞれのチャンネルに合わせて奴らに見えないようにしてる。


 いや、本当に力の扱いを特訓しててよかったと思った。


『それでも普通はこんなこと……』


 なにやら言いかけてやめるAI。まあわかってる。私は天才だって言いたいんだろう。知ってるよ。でもピンチだ。片腕を失い、ダメージも大きい。けど私はまだ諦めてはない。一度下がったけど、更に私はAIに軌道予測を精密にしてもらうよ。私のこの天才的な脳を使ったっていい。私は完璧な二人の動きが知りたいんだ。

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