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 アビスの力に合わせて私は実の中の力を感じることが出来た。どうやら別の世界の力では抵抗値が変わってくるらしい。今まで固い壁に阻まれてたのが嘘のように実の外殻部分を通り抜けて実の中に蓄えられている力を感じることが出来てる。


「凄いな……」


 私は中の力を感じて素直にそう呟いた。だってこの力、なんかこう……気持ち悪い。言っとくと、別に嫌な気持ち悪さじゃない。でもなんかこう……皆がノリノリなのに一人ポツンといる感じの居たたまれない気持ち悪さだ。


 別に周りの人達は何一つ悪くないよ。けどなんか自分だけノれないみたいな……ね。僅かにこの実の中身に触れただけで、私はこれがとんでもない力を宿してると分かってしまったのだ。


 世界の太陽をになってる物体だし、ある程度は分かってたし想像だってしてた。でもどうやら、私の想像力は貧弱だったらしい。

 世界をあまねく照らす為の力がどれ程か……私は全然分かってなかった。


「これってどうにか出来る?」


 少しだけ拝借してから魔王と勇者の体分だけ再生とか出来れば良いんじゃないかな?

 その位簡単にできそうなほどの力を秘めてるよ。


「ねぇ、どう思う?」

『どうにかしないと二人は目玉と伴に崩壊していくだけです』


 AIが無慈悲にもそう告げる。そうじゃないんですけど!


「私が言いたいのはこの実丸々使う必要はないんじゃないかって事だよ!」


 二人を復活させるのは決定事項なんだから今更そんな事私でも聴かないよ。


「だってこれ全部使うとか周りの奴らに怒られるよ。それってなんかまずい気がする」


 勘だけどさ……この緑色の奴らは怒らせてはだめな気がするよ。だからどうにかこの実を無事なまま二人を復活させたい。贅沢かな? けど私は贅沢な女だ。多分ね。それに膨大すぎる力だし、全部使う必要が無いような……まあ存在を復活させる為の力がどれほど必要かなんてわかんないんだけど。


『不味いとは思いますが、無から有をそのまま生み出すとなると、それは神の所業ということをおわかりですか?』

「なに、嫌み?」

『違います。もしも何も媒体が無い存在を一つ生み出すとすれば膨大な力が必要で、それが出来るのは神しかなしえぬ所業と言うことです」

「私って神じゃなかったんだ……」

『…………』


 なんだろう……とても呆れた様な空気が流れてる気がする。だって私って人間よりも高性能っぽくない? なんか『力』使えるし。人間ってこんなの出来ないよ? それにそもそも私はプチュオクミらしいし。プチュオクミが神だとしてもおかしくない……かも知れないじゃん。


「その反応では私は神ではない?」

『よく、自分が神だと思えましたね』


 やっぱり呆れられてたようだ。でもてもプチュオクミが何かわかんないし、しょうが無くない? まあ今は私の事よりもこの実の事だ。


「神じゃないからから、流石にこの力だけでは二人を宿す体は作れないって事だね」

『そうですね』

「じゃあ、この力を取り出さないといけないよね?」

『そうなるかもしれません』

「これって、まずは私に流して外側無事なままで取り出すとか……出来るかな?」

『難しいでしょうね。出来なくはないかもですが、どのみち、そんなことをすれば、周囲の存在に感づかれるでしょう』

「そうなんだ……」


 詰みました! 絶対にこの周囲の変な緑色の奴らと敵対するじゃん! 一体どうすれば? 流石にG-01が強くても、この数の暴力は……ね。それに奴ら間抜けそうな見た目だけど、弱いとは限らない……ど、どうしよう。

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