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「兄上、私を見てください。砂獣がこんな弱い存在のフリをする必要がありますか?」

「それだけ狡猾な奴なのだろう?」

 

 そういってアヴァーチェは大きく息を吸ってはいた。あからさまにやってないが、どうやら魔法的な力を体内で巡らせてるみたいだ。深く息を吸って、そして静かに長く吐いてる。多分だけど、プライムはまだ魔法の力とか、感じ取ることはできないんじゃないんだろうか? 

 流石に三歳児にそんな教育はしないだろうし。でも――


(まさか攻撃をする気か?)


 ――確実に確信を持ってる訳じゃないと思うんだが? それで自分の弟を攻撃するか? それか攻撃の意思だけ見せて脅す……とか? ありえそうな気もするが、もしも本当にこれだけ狡猾な砂獣だったとしたら、おびえる演技位しそうだが? やっぱりそれなりにアヴァーチェも混乱してるのかもしれない。


「お前の正体を見透かしてやる」


 そういうアヴァーチェの目の色がなんか変わる。銀髪に金色の目をしてたわけだが、なんか青くなってる。


(力が目に集まってるな。力を測定できる何か? いや、単純に力の総量を見てるのか)


 目に力を集めて、相手の力量を図る――というやり方は俺の世界でもやってた。いや、基本技術だったといってもいい。それに外に漏れてる力をみれば、相手がどれだけ腕が立つのかとかもわかるからな。

 モンスターは時たまめっちゃ力が強い奴がいるが、そういう奴らは大体、その力を垂れ流しにしてる。だから常に大きな力を放出してるみたいなもので、確かに凄いが、無駄でもある。


 そこら辺のちょっと頭がよくなった奴なら、その力を無駄にしないように、抑えたたしてる。更に賢くなると、周囲に溶け込もうとしたりさ……けど、流石に元の力を完全に消すとなるとそれこそ結構大変なんだよな。俺はそこら辺が結構苦手で、仲間に迷惑をかけてた節がある。


「どういうことだ?」

「何をしてるのかわかりませんが、兄上が納得できるのなら、存分に見てください!」


 そういうプライムは大きく両手を広げた。実際、俺からみても、プライムにはただの三歳児の力の総量しかない。そこに不自然さはない。俺の世界の上位のモンスターとかは確かに化けたりもしてた。そしてその力の扱いは人以上とかもざらにいたからな。確かにプライムくらいに化けるやつもいるだろう。


 でも……ここは世界が違う。協会が魔法を牛耳ってるせいで、砂獣だって魔法に対する対策? ってそんなにしてないと思うし、そういうのって敵同士が互いに生きるや殺すために高めあうから、どんどんと技術というのが上がっていくものだろう。


 でもこの世界の砂獣だって魔法による攻撃とかそんなに受けてないとすると、高めようがないというかね。そこまで力の扱いがうまい砂獣は存在してないだろう。


「神聖な魔法にごまかしは聞かないはず。なら本当にあれだけの力しかないということか?」


 何かぶつぶつとつぶやいてるアヴァーチェ。魔法にごまかしがきかないって訳はないが……まあ訂正する必要はないだろう。

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