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「プライム……なのか?」

「はい、お久しぶりです兄上」

「どういうことだ? なんでお前がここにいる? それにこれは?」


 アヴァーチェは困惑してる。まあそうだろう。なにせいきなり自分の弟が現れたんだ。ここにいるはずがない弟だ。にわかには信じられないだろう。


「幻覚ではないようだな? 誰だ? 私を誑かそうとするものは!!」


 そういってアヴァーチェは周囲に視線を巡らせる。どうやらプライムが自分でここに来たとは思ってないようだ。まあそうだよな。多分アヴァーチェはこの魔法の暴走もすぐに意図的に仕向けられたと思ったんだろう。

 実際、本当に魔力が暴走したら周囲に甚大な被害をもたらす。まあ甚大かはその人の魔力量によるところが大きいが……術者はただでは済まないのは確かだ。

 今回は術者はこの部屋にいた子供たち……ということになるが、彼らはこうなったときに別に怪我なんてしてはなかった。だから外部からの干渉を疑ったんだろう。そしていきなり現れたプライム。そこまで考えると、きっと自分に用がある――とアヴァーチェは考えた。

 十三歳くらいならこのくらい考えることは……できるかな? やっぱり王族ともなると頭いいのか? 


「兄上、落ち着いてください。大切な事を伝えに来たのです」

「やめろ喋るな。今、お前は普通の状態ではない」


 ふむふむ、何か魔法で術者が操ってるとアヴァーチェはプライムの事を警戒してるようだ。まあそうなるか。


「そもそもかお前は、そんなしっかり話せないはずだ。墓穴を掘ったな。三歳の子供がこんなしっかりしてる筈はない」


 そっちかぁー。いやめっちゃ正論だけどな。本当に俺だってプライムにはびっくりだよ。三歳児ってこんなんだっけ? とマジで思う。まあやっぱり異常だよな。当たり前である。どうやらプライムはこれまではその本性を隠して過ごしてきたみたいだな。 

 いまの巣の自分を兄にも見せたことはなかったんだろう。てか両親だって知らなさそうだし。自分が知ってる弟がいきなり精神年齢上がったような対応を異常な状況でとってきたら……自分でも何者かに操られてる――と思う。

 アヴァーチェの考えは至極まっとうな考えだ。


「兄上、今までのは演技です。本当の私はこれです」

「そんなわけがあるか! 全然三歳児らしくないぞ!!」


 うん、まったくその通りだ。これは……信じられなくてもアヴァーチェを責められない。寧ろ、これですぐに信じるほうがある意味心配っていうか。


(どうする?)


 という視線を俺はプライムに送った。だってプライムが語るだけでは無理そうだったからだ。でもプライムは一度頷いた。多分「任せてください」だと思う。

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