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 二人の事を知ることができてなかなかに満足だけど目的はそれじゃないんだよね。二人を元に戻す為にもアビスの目の力を私は解析とかしたかったんだけど、それができたかというと分からない。


 なにせ勇者の時なんて一瞬だったし……何か身になった事があったかと問われても困っちゃう。


「私が天才過ぎたから……」

『寧ろ鈍すぎたんでは?』

「むー」


 AIがここぞと言うとき失礼なことを言ってきた。さっきまで黙りだった癖に、どうやら私には突っ込まないと気が済まないらしい。

 スルーしてくれればいいものを……


「それじゃあそっちは何か摑んでる訳?」


 私はそう言って内心ニヤリとした。今までAIが何も言わなかったのってAIに頼りすぎな所を改善させる為だよね。

 でも今、私と会話始めちゃった訳だ。そうなると、反応しないのは酷くない?


『…………』

「酷くない!?」


 無視の態勢に入ってるAIに私はそう叫ぶ。こうなったら――


「私……は二人を……たすけっ……たいんヒグッ……だよ。協力して……よ」


 ――これぞ必殺泣き落としである。女の最大の器は涙だと相場は決まってるのだ。しかも私は美少女だぞ。堪らないものがあるだろう。


『こっちはあなたのバイタルとか諸々計ってるんですよ? 嘘泣きがわからないとでも思いますか?』

「プライバシーの侵害だ!」


 なに私って常にAIにモニタリングされてる訳? そんなの断固拒否なんだけど。抗議だ抗議!!


『プチュオクミであるあなたにはとても重要なことなのですが――』

「そんな脅しに私が屈すると思ってる訳? 心外だよ」


 私はきっと意志の強い子だ。


『貴方はまだ理解してないでしょうが、G-01に縛られてると思ってるそれが間違いだとしたら?』

「どういうこと?」


 難しい話は止めていただきたい。理解できないから。


『貴方はG-01という外皮に守られてるとしたらどうですか? 私が貴方のバイタルを測定してるのも必要なことなのだとしたら』

「そんな……はったり……私は……」

『それではいいんですか? 測定してなくて? 貴方は自分の事を何も知らないのに? 人でもないのに』

「すみませんでした!!」


 どうやら私はそこまで強い子じゃなかったみたいだ。だって私プチュオクミとかいう謎生物らしいし。まあそれが本当かどうかも確かめる術なんてないんだけど。決定的に人間と違うところがあるんなら、信じられるが見た感じ、別に尻尾とか角とかあるわけでもないからね。

 でもだからって否定も出来ない。くう……私はどのみちAIに勝てない。しょうがないこうなってら第二の最終手段だ。


「あのーどうにか協力していただけませんかね? このバカな私にご教授をお願いします! いよっ、大統領!」


 泣き落としがダメなら、ゴマすりである。私にプライドはないのかって? どうせ誰も見てないし。この場所は私とAIだけの場所だからいいのだ。私は一生懸命、手のひらを重ねてスリスリしてる。


『貴方はもっと自分を信じてください。ちゃんと貴方はアビスを解析してます』

「でも……」

『言っておきます。私の中にある知識は全て貴女の中にある物です』

「私の中に……」


 私はすりあわせてた手を止めて、胸の中央に手を添えた。何か出来る様な気がしてきたぞ。なんかヤル気がみなぎってきた。

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