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「凄いです! 流石アヴァーチェ様!」

「本当ですよ! こんなに早く魔力を外側に出すことが出来るなんて! コツとかありますか?」

「コツか……そうだね――」


 どうやらプライムの兄であるあの王子様『アヴァーチェ』というらしい。プライムと同じく白銀の髪をしてるからわかりやすい。やっぱりイケメンなのは遺伝なんだろうか? 優秀な遺伝子を継いでいくからああなるのか? 

 これは姉もかなりの美少女なんだろうなって思う。とりあえずは目の前の王子様だ。どうやらこの訓練は自身の中の魔力を感じ、そして外に発露するのが目的らしい。


(懐かしいな)


 そんな事を思った。俺も似たような訓練をしたことがある。まあ俺の場合はこんなちゃんとした訓練ではなかったが。やむにやまれぬ事情という奴だった。

 なにせ結構切羽詰まってたからな。俺が勇者として選ばれてから必要なことは全部戦いの中で覚えていったと言って過言ではない。なにせ俺はただの平民だったんだ。

 それが勇者なんて者に行きなりなったら、最初はただその力に振り回されるしかない。たくさんのいい出会いが、俺を本当の勇者へとしていったんだ。


 王の子供だから王にはなれるのかもしれない。けど、立派な王になれるかは違う。俺もそうだった。勇者になったときは、本当にただ勇者として選ばれただけだった。そこから本当の勇者に、勇者として皆に認められるまでが大変だったといえる。


 あの子はどうなんだろうか? あの子はいずれ王になるんだろう。この世界を背負う……かはわからないが、王にはなるだろう。なにせこの世界は実質協会が牛耳ってるからだ。


 ただの傀儡の王となるか、それとも自分で考えられる王になるか……こうやって見てる感じ、プライムと同じように利発そうには見える。確かにプライムほど、異常には見えないけど……ちょっとだけ年齢よりも大人びては見える。


 周りの子たちが相対的に子供に見えるくらいにはな。


「コツは疑わない事です。自分の中にはその力があり、そしてそれを与えてくれた太陽神をあがめれば、自然と自分の中にも太陽があると、そうわかります。あとはお願いをすればいいのです」

「「「おおー」」」


 うん? 今の発言はなかなかに信仰強かったな。でも今のだけじゃ……まだ完全に協会の教育って奴が行き届いてるのかわからないだろう。大丈夫、まだ希望はある。


「でも……自分はそこまで信じれなくて……自分はちっぽけなんです。アヴァーチェ様とは違うから……」

「私も何も変わりませんよ。信仰心は全て平等です。そこに大小なんてない。それでも不安なら、皆で力を合わせてみるのはどうでしょう」


 そういってアヴァーチェは手を差し出した。それで、その一人と一緒に祈るのか? とか思ったら、更に反対側の手を他の子に差し出して、そのつながりがクラス全体に広がった。そして一つの砂の山で皆で祈る。するとまずはその中心の砂が舞って、更に周囲の砂の山にも影響が広がった。


 彼らを取り巻くように教室中に砂が舞う。それは教室の明かりを受けて、キラキラととてもきれいに輝いてる。


「奇跡だ」


 誰かがそういって、アヴァーチェに弱音を吐いてた子は泣いていた。えっと……ある意味あいつヤバいな……と俺は思った。

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