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 物理で中庭に集まってた物騒な協会の奴らをのした後、俺は素早く目的地に向かってた。


「きゃ!」

「なんだ?」


 そんな声が聞こえる。なぜなら、俺が走った後に吹き荒れる風で彼らの怪しげな衣装が捲れたりしてるからだ。足首まで隠すような変なローブに身を包んでるわけだが……まあ女性はいい。ふくらはぎくらい見えたらラッキーと思えるからだ。

 でも男は別に……毛がびっしりの足が見えてもなにもうれしくない。彼らはたまたま強い風が吹いた……程度にしか思ってないが、そんなわけはない。けど多分ここにいる協会の奴らはここが魔法的に守られてると知ってるんだろう。だからこそ、内部でこれだけいきなりの突風が吹いても、ただの自然現象だと思うみたいだ。


 信頼しすぎるというのも考え物だな。まあありがたいが。とりあえずさっさと王子たちを救出できれば俺の任務は終わる。まだ朝だから、明日出発することを考えたら、実は宵の間に連れ去ったほうがよかったのでは? っていう気がしなくもない。

 でも協会は宵を克服してるからな。まあここにいる全員が宵を克服してる……なんて思わないが。確実にこうやって日が昇ってる間にすれ違うやつらの数は違ってたと思う。


 気づかれるリスクを減らすなら、宵に動くのが一番だったろう。けどきっと教会側だって既に王様達が王宮を……いや中央からの脱出を計画してるとわかってるのなら、彼らにとっての人質になりえる子供たちの処遇を考えないわけはない。


 抑止力に使うか、それとも救出できないように協会の中でももっと奥に、厳重に周りを固めるか……でも今ならまだそこまでしてないって公算がある。

 なにせ昨日の今日だ。


「ふむ……」


 なんかさっきから同じところを回ってるような? 急ぎすぎたか? なんか同じような通路に同じような配置の装飾がされててどこにいるのかわからなくなる。


(だが、俺が迷うなんてことはないはずだが……)


 なにせ俺は頭でマッピングをしてる。それに光の玉を先行させてある程度の内部の地図は既に出来上がりつつあるんだ。そして光が見つけた存在は頭の中の地図に光で表示されるようになってるし、その地図を見てれば、迷うなんてことはない。なにせ自分の位置だってちゃんと表示されてる。

 

(でも、回ってるな)


 俺は目に力を込めて通路の先を見る。何やら二重にボケたように見える。空間に仕掛けがあるらしい。でもどうやら光の玉はこれに干渉されてなかった。


(たぶんこれを壊したら侵入してるのがばれるよな。それに中庭のあれ……そのままだし。結局ばれるのは時間の問題か)


 さすがに数十人をどこかに積み上げておくのも面倒で放置してきたからな。多分そのうち誰かに見つかるだろう。そうなると、侵入者がいることはばれる。ならもういっそここからはばれてるの前提でいくか? 


(いや、その時まではなるべく隠密にいきたいなやっぱり)


 できることなら戦闘は最小限が望ましい。俺は壁にかかってる絵画へと歩みよる。そして額縁に手を伸ばして裏側をみた。もちろん何もない。ならと俺はその裏側の壁を拳で打ち抜いた。人一人が通れるような穴をあける。そしてそこから中の部屋に入って、そこから通路の先へと壁をぶち破る。これで空間の仕掛けを力技で俺は突破した。


 一応ぱっと見はわからないように配慮したのは言うまでもない。

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