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 色々とこれからについて王様と話し合ってると、慌てた様子で一人の執事が入ってきた。そしていう。


「ぺ−−ペニー二ャイアン様が!!」

「様などいらぬと言っただろう。そういう所から改革を−−」

「それで何が?」


 執事に向かって教育を施そうとしてた王様を制して俺は先を促した。確かに教育は大事だが、今はこの慌てぶりからさっさと本題を告げて欲しい。

 いや,わかってるんだけどね。俺はペニー二ャイアンの動向を遠隔からもわかるようにしてたし。


「報告いたします。ペニー二ャイアンが逃走いたしました」

「なんだと!?」

「それで、ピローネの方は?」

「ピローネは放置されております」

「そうですか」

「ピローネよりもペニー二ャイアンです勇者様。協会にとって神託の巫女は儀式に必要な人材、しかもその上位の序列となると替えは難しいと推察しています。なので奴らも死に物狂いで動きに出たのでしょう」

「外部からの侵入者ですか?」

「それか入り込んでたネズミか……ですね」


 悔しそうだが、人は簡単にコロコロと心を動かすものだ。だからこそ信頼できる奴を見極めるのはとても難しい。王様ともなるとそこらへんの神秘眼は必須だろうが、強制的に従わせてるってこともあり得そうだしな。王様を責めることはできない。なにせ協会側は魔法という力を持ってて、こっち側はそれがないんだから、対策のしようもないっていうね。


 協会は常に有利になるように世界を操ってきたんだろう。まずはその枠から出るのが先決だなって思う。


「自分が行きましょう」

「ですがこれは我々の不手際です。勇者様のお手を煩わせるわけには……」

「そんなくだらないことに拘って、せっかく手にした人質を手放すのは馬鹿馬鹿しいことですよ。それに自分が行くのが確実です」

「そう……ですね。なら、案内を−−」

「いいえ、その必要はありません。こちらでちゃんと把握してます」


 一応擬態はしてるようだがな。なにせ俺の魔法を惑わすように、ずっと同じ部屋にいるように感じさせるような感覚はずっとある。並の使い手ならこれで騙せるだろう。だけど俺には効かない。もう一方の感覚でちゃんと本当のペニー二ャイアンがどこにいるかちゃんと俺は把握してる。


「では行ってきます。ああ、一応ピローネの方も警戒しててください」


 もしかしたら、俺が離れるのを狙ってる可能性はある。なにせペニー二ャイアンを助けてピローネには何もしてないって普通に考えたらあり得なくない? けど今はペニー二ャイアンを逃がすわけにはいかないからとりあえずの警告だ。


 俺は少し力を入れて、体を動かす。それだけで、一瞬にして王様たちの前から姿を消した。

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