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 俺は王宮の食事を堪能してる。あれから一時間くらいペニーニャイアンと喋ってたら王宮のメイドさんが起こしにきてくれた。薄い布地で、顔の下半分をベールで覆ったちょっとやらしい女性だった。自分が想像するメイドはもっと厳粛な格好をしてるが、この世界のメイドは結構こんなものだ。

 暑いから露出多いし、肌が透ける布をまとってるから出してる所も出してない所もエロいっていうね。まあそれはどうでもいいことだけど……食事にいくときに、一緒にペニーニャイアンとピローネも連れ出されたけど、ここにはいない。

 それでも近くにはいるのは確認してる。ここで逃がすなんて愚の骨頂だから、ちゃんと存在は感知できるようにしてる。


 一応王様がちゃんと衛兵もつけてくれてるが、協会がどんな手を使ってくるかはわからないからな。


「どうですかな勇者様」

「とても美味しいです」


 美味しいのは嘘ではない。嘘ではないが、なんかペニーニャイアンの屋敷で食った奴の方が洗練されてたというかなんというか? 俺も自分をそこまでグルメとか思ってないが、それでも勇者としてそれなりにいいものも食ってきた。

 もちろん旅ではそんないいものばかり食えるわけじゃないから、俺は自分がどっちも美味しくいただける舌をしてると思ってる。

 それなりに自信もあるわけで……それでいうとペニーニャイアンの屋敷の料理の方がこの王宮よりも一枚上手だった。


 けど普通は王宮の方こそ、その国最高峰でなければならないんじゃないか? そもそもペニーニャイアンは確かに地位的には高かったが、それでも協会の最高峰ってわけじゃない。でも王様は一番上なわけだ。地位で言えばな。


 これもあれだろうか? この国の関係性を物語ってるってことだろうか? 協会という組織が王様よりも強くなってしまってるっていう……


「随分とペニーニャイアンと話していたようですね」

「ええ、色々と聞かせてもらいました」

「それは凄い、協会の者どもに口を割らせるのはとても難しいのですが……」

「協会の方が力関係的に上なのですか?」


 俺のそんな言葉に、一応平穏に流れてた空気が一瞬でピキッと緊張したものになった。まあきっと聞きづらい事だろう。でもきっと俺たちを歓迎したのは、そこらへんの事情もあると思う。


「残念ながら、民心は協会のほうにありますからな。はっはっは!!」


 そういって明るく笑う王様であるゼラバラバファ・バン・グルダランファ13世。いいのかそれで……いやよくないから俺に接触してきたんだろう。


「ですが、協会の横暴にもそろそろ我慢の限界です」


 そういうのは王様の隣にいる美女である王妃様であるアナファーゼ・シン・グルダランファさんだ。笑ってるけど、王様は王妃様の言葉とともに、笑顔が引き攣ってるぞ。

 そして「コホン」と一息ついて、真面目な顔つきになった。


「協会はその権力と威厳を使って我らの抑止も効かずに何やら怪しい実験をしておる。だが、それをわかってても我らには何もできない。いや、できなかった」


 まあ民心はあっちにあるしね。権力は一応こっちが上でも、国は民あってのもの。その民が協会を支持してるとなると……国的には強く出れないか。


「向こうには我らが知らない力が多すぎる。事を構えることは得策ではなかった。ずっと我が王家は奴等の傀儡と言っていい。ですが私は……奴らが自分たち本意なのを知ってる。

 奴らは耳障りのいいことを宣って民心を掴んでるが、そんな気持ちはつゆほどもないでしょう。だからこそ、取り戻したかった。そしてそのチャンスが今きたと思っております。勇者様!! 我らに力を貸してくださいませんか?」


 そういって再び王様と王妃様が頭を下げて、さらにそれに続いてこの部屋にいる王様がわの人たちが頭を下げるこれ、昨夜もやった気がする。めっちゃ気まずいやつじゃん。


 こういう、頭を下げてるんだけど、強迫的なやり方はよくないと思う。まあ権力者らしいと言えばらしいが。

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