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「お菓子を求めます。それに体が気持ち悪いです。お風呂を所望します。それか拭きなさい。それが女性への最低限の礼儀では?」


 ピキッと頭のどこかが切れたような音がする。もちろんこんなふざけた事を言ってるのはペニーニャイアンだ。目を開くなり、周囲を見回して、そして俺を見据えて、さっきの言葉を第一声で言ってきやがった。その胆力はなかなかにすごいと思う。でも自分の立場って奴をもっと客観的に見つめなおしたほうがいい。


「ふざけるな。貴女にそんな権限はもうない」

「ふざけるな? はこっちのセリフですよ。私はローワイヤのような落ちこぼれとは違います。私はいまだに神託の巫女なのです。その重要性をそっちこそ認めるべきです」

「そんな事を言われても……そもそも神託の巫女って何をするんだ?」


 ちょっとだけこうなる前のペニーニャイアンに聞いたが、抽象的過ぎてよくわからなかった。てかあの時は、別にこいつもわからせようといってなかったと思う。わざとわからないように話してた感じがあった。でも……


「わかりやすく説明してもらっていいですか?」

「なんで私がそんなことを……」

「貴女は自分の立場わかってます?」

「だからそっちこそ、わかってないのよ。私にこんなことをして、世界が黙ってないわよ」


 世界ね。スケールが広いな。


「なんで……」


 ふいに遠くに転がしたピローネを見たペニーニャイアンがそういった。


「なんでまだピローネが存在してるの?」

「それはどういう意味ですか?」


 まるでピローネは既に存在してるのかおかしいかのような言い方だ。


「ピローネは無茶な変換をしたわ。だから既に細胞が崩壊してておかしくないのよ」


 自分の事はあんまりしゃべろうとしないのに、ピローネの事はペラペラと喋るペニーニャイアンの奴。


「そういえばさっき苦しんでたけど……」

「なにやったの?」

「いや、日光が原因だと思って、日陰にやっただけですけど……」

「うそ……そんなので無理に砂獣化させた体がもつわけないでしょ。なにやったのか吐きなさい」


 なんでこっちが攻められてるんだろうか? まあけど、これも情報には違いない。とりあえずほかになにかやったか思い出す。


「回復魔法をその前に使ったな」

「どんなの?」

「いや、普通の……」


 そういってその光を手のひらに出してみる。小さな光がぽわぽわと手のひらの上で浮いてる。


「なにそれ……」

「いや、こっちの魔法はこんなのですから」

「ふーん、そういえば勇者様は異世界の人でしたね……なるほど。それでかも……」


 そういって少し考えるペニーニャイアン。でもこれは効果なかったんだが?


「こっちにもわかるように言ってくれませんかね? てか一から十までの説明を求めます。隠し事はお勧めしませんよ?」


 そういう俺は、笑顔なんだが、手のひらの光を黒く演出して、何か不気味な魔法を持ってる……かのように演出してみた。


「まあ、無知な異世界の人に教えて差し上げましょう」


 とようやく、ちょっとは自分の立場って奴をペニーニャイアンはわかってくれらたらしい。

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