表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
366/1598

275

 空に黒い太陽が出てる。月……とかではないらしい。普通にこの世界の人たちは黒い太陽と呼んでいる。黒い太陽は外延部が光ってて、それはまるで日食とかそんな感じのみたいだが……世界が全然違うから、そうではないのかもしれない。


 すでに宵に入ってる。俺たちは割り当てられた部屋でそれぞれ眠りについてる。俺は眠ってないが……別にこの体になってから眠るってことが絶対的に必要ではなくなったんだ。ただ、精神は眠りをまだ求めてて、だから特別なことがない限りはちゃんと眠るようにしてる。


 今は俺は眠るわけにはいかない。ペニーニャイアンがもしかしたら俺が眠りに入るのを待ってるかもしれない。


「無駄ですよ。いくら待ってもね」


 とりあえずそんな声をかけてみる。ペニーニャイアンとピローネは床に転がしてる。ベッドは二つくらいある広い部屋なんだが、床でいいかなって思ってそうしてる。


 こいつにはこのくらいでもまだまだ生ぬるいだろうしな。とりあえず声をかけてみたが……反応はない。ペニーニャイアンは宵に動く術はないのか? 狸寝入りって可能性もあるんだけどな。

 一応心拍とか脳波とかモニターしてるが……眠ってる数値にはなってると思う。


「気にしすぎか」


 俺はそう思ってベッドに腰掛ける。一応警戒はしてる。俺たちが王宮へと入ったことを教会の奴らがしらないとは限らないからな。薄く結界のようなものを張ってみてる。これで侵入者には気づく事が出来るだろう。動く奴がいたら、それは教会の刺客で間違いないからな。


 なにせ宵に動けるなんて時点で、怪しさしかない。


『ハローハロー、勇者聞こえますか?』

「ジゼロワン殿ですか」

『ちゃんと聞こえてますね』


 頭にジゼロワン殿の声が響く。俺や魔王は彼女の眷属と言っていいのか、そういうものだ。だから繋がりがあって、それを通してこうやって声を届けることができる。まあ向こうはいつでも一方的に送れるが、こっちからはそこまで一方的には送れない。


 一応ノックして、反応を待つ……とかの手順が必要だ。それに本当ならジゼロワン殿は俺たちの意思に関係なく、この体を自由にできる。そのくらいの絶対的な関係性が実はある。

 あの方はそんなことをせずに自由にやらせてもらってるが……


『どうですか? 中央は?』

「そうですね。色々と大変そうです」

『でしょうね。でも王宮がこちら側についてくれるというのは助かります』


 俺たちの今の状況もちゃんとわかってる……か。当たり前か。俺たちが見たことは、ジゼロワン殿も見れる。なにせ視界を向こうは見れるんだ。

 説明する必要なくて楽だけど……個人の全てが実は見られてるって考えるとな……けど俺や魔王に拒否権はない。


「そちらはなにか変わったことはありませんか?」

『へぁ!? ゴホン、こちらは何も問題なんてありませんよ。別にちょっと地形が変わったりしてませんから安心してください』

「はあ」


 ジゼロワン殿はとても優秀だが、存在の違いからか、スケール感が違いすぎる。意識の差とかいうか。俺たちにとって大事でも、あの方にとっては匙でしかないって感じ。


 今の感じ、きっと何かあったんだろう。


(地形が変わったって一体……)


 でもそのくらいあの方ならできるだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ