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(あれは……まさか)


 ヘロヘロになったローワイヤさんを背負いながら俺は走ってる。実際の所、フェアとかメイドの皆さんも担ぐことになるかも……とか思ったが、そんなことはなかった。今のところは……だけど。まあ流石に横にピローネを抱えて、背中にはローワイヤさんを抱えてるから、すでに定員オーバーなんだけどね。だから背負ってもらうなら他の、賞金稼ぎの皆さんになる。


 でもヘロヘロなのは今の所はローワイヤさんだけだ。まあ賞金稼ぎの連中は普段から砂獣を相手にしてるから、体力がないと戦う事なんて出来なくて死ぬだけだからな。走れるのは納得できる。でもフェアとかメイドの皆さんまでかなり走れるのは驚いた。これも元からのこの世界の人々の身体能力の高さなのかもしれない。


 俺たちは落ちてきた分を取り戻すように道を上がってる。けどもちろんだけど、正規の道じゃないと思う。なにせあの煽情的な二人が道を作ってる。そもそもがもとからある道は、件の騒動もあって今はめっちゃ慌ただしいし、封鎖もされてる。

 それはそうだろう。なにせ神託の巫女の一人である、ペニーニャイアンの屋敷が落ちたのだ。これはかなりの出来事な筈。どれだけ情報が出てるのかはわからないが、確実に上の方への道は全部閉鎖されてる。だからこそ、新たな道を彼女たちは作ってる。実際道が見えるわけじゃない。でも彼女たちは見えない道を進んでる。だからこそ俺たちはその後を追うことで、その道を踏みしめて走ることができてる。


 最初は皆おっかなびっくりだった。なにせいきなり道から外れてるんだからね。なにもないところに二人が立って「ついてきてください」と重なる声で言ってきた。みんながためらうから俺がまずは真っ先に行った。てか俺にはみえてる。

 もともと実は隠された道があるみたいだな。この中央にはたくさんの力が張り巡らされてる。その一つの流れを彼女たちは活用してる……って感じだ。だから普段から今、俺たちが進んでる道に道があるわけではないみたいだ。確実に彼女たちに反応して道はできてる。そして俺たちは正規の道から外れて、上っていく事で、彼女達がどこに向かってるのか……たしかになんとなくわかる。


 彼女たちは協会側ではないといった。ならどこの陣営についてるのか? 上に行くということは協会側な可能性が高いんだが……実際、ペニーニャイアンの屋敷があったさらに上をめざしてるし。となると、あるのは協会の総本山と言われてる『太陽の宮殿』なる建物。そしてもう一つ……さらに一段高い場所に、王宮がある。この人たちが本当に協会の人間ではないのなら、自ずとその目的地は一つに絞られる。


「旦那、あれの横を通って大丈夫ですか?」

「たぶん大丈夫なんじゃないか? 彼女たちは気にしてないし」


 俺たちは協会の総本山を素通りしようとしてる。もしもこの段階で見つかってるのなら、たぶん向こうは何らかの反応をみせてるはずだ。でもそうではない。なら今は素通りするのが正解だろう。


 俺たちは協会の総本山を素通りしてさらに上へ……そう王宮へと向かっていく。

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