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「あぁあああああああああああああああああああああ!! 食う食う食う食う食う食う食う食う食う食う食う食う!!」


 俺の言葉をうけて、ヘドロはなりふり構わない行動に出てくる。この世界の至るところから茨が出てきて。更に真っ赤花が咲き誇る。そしてその茨と花が複雑に絡み合っていき、流線型の形のドラゴンが形作れらた。


「キャキャキャキャキャ……」


 大きさとは裏腹な高い声が聞こえる。いや、これは声ではなく、茨の棘とかが擦れ合ってそういう音がしてるのかも知れない。まあどっちでもいいことだ。


 不思議なことにこの茨の竜は空間に入ったり出たりしてる。それは上だろうと下だろうと関係ない。まあここは精神世界だ。俺は立ってると思ってるからこうやって足を踏みしめて立ってるが、これは足元に地面にあるわけじゃない。そういう意識の元に、世界が反映されてるに過ぎないんだ。


 俺は茨の竜を見ながらいうよ。


「お前は、何もわかってない」


 そうこいつは何もわかってない。茨の竜は体から茨を伸ばし、その先端から大きな赤い花を咲かせる。そしてそこから赤い光線を出してきた。それはとても大きく、強く、そして凶悪な力だ。でも俺はそれをよけたりしない。


「あはははははははは! がははははははは! きゃははははははは!! 死んだ死んだ。ちゃんとお前がこの世界に溶ける前に全部食ってやるよ!」

「誰が死んだって?」


 俺は何も変わらず、その場に立っている。その姿を見た瞬間、この空間に響く笑い声がやんだ。そしてさらに花が咲き誇り、さっきの倍以上の数から包囲攻撃が飛んできた。

 もちろん俺は、それをよけるような動作自体しない。


「こんどこそ! こんどこそ! こんどこそ死んだあああああああ!!」

「残念」

「なぜだあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


 次はとうとう茨の竜自体が突っ込んできた。まあ後取れる手段はそのくらいだろう。質量……はよくわからないが、あのとげとげ痛そうだしな。


 茨の竜は目のようになってる両側の花を爛々と輝かせてる。そして大きく開けた口で俺を食おうとしてる。俺は手を前に出す。それだけだ。そしてそれだけで、俺よりも数倍もでかい茨の竜は止まった。というか、見えない壁に阻まれて、それ以上は進めないといった感じだ。


「何が! 何が何がなにがああああああ!?」

「わからないか? お前は愚策を冒したってことだよ」

「なんのなんのなんのことだ?」

「せっかくのの精神世界、そしてお前は実態がない存在だろう? なのに、なんで実態なんて作る? そんなの、ただ倒しやすくしてるようなものだ」


 俺と茨の竜の間の空間に金色の魔方陣浮かび上がる。そしてその光は徐々に茨の竜へと伝染していく。


「これは……浄化され……やめ!? やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

「消しはしないさ。お前は話が一応は通じる貴重な存在だしな。ただその身に内包された闇を拭い去れ!!」


 俺の勇者としての聖なる力が茨の竜を完全に包んだ。そして、俺はこの世界から脱出したんだ。

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