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 俺は精神世界にいる。老子バンドゥンの攻撃によって、たぶん危険な状態だろう。強制的な精神世界へのいざないは、体のコントロールを奪われたか、一時的に無防備になってるか……それは俺の元の世界でも経験があることだ。

 目の前には黒い存在がいる。ヘドロから沸き上がった気持ち悪い感じでいくらこいつを殴っても意味はないようだ。


『ぎゃはははははは! あはははは! じゃはははははは!!』


 あたりではそんな笑い声がずっと響いてる。それは一つだけの声ではなく、低い声高い声、女の声男の声、さらには人とは思えない声とかもある。

 不思議な感じだ。でも焦る必要はない。まあ俺の全身に巻き付いてる茨がどんどんと食い込んで、何かを送り付けてきてるけどな。そしてそれはどんどんと俺を侵食してるのは確かだ。


 何かが入ってくるたびに、自分の感覚が麻痺して言ってる気がする。体から俺という存在が追い出されてるような……この状態が進んでいくときっと俺という存在は消えてしまうんだろう。力が入らなくなって体が震えてきてる。


 簡単にわかる問題だ。そしてこいつにはどんな攻撃も効かない。さっきからいくつもの攻撃をしてるからそれは確かだ。俺の精神世界ってこともあるんだろうな。そしてこいつが実態がない存在だからだろう。


 何をやってもケタケタとうるさい笑い声を響かせてる。うざったい。


『むだむだ、逝け逝け、早く早く、さあさあ!!』


 茨がさらに食い込んでくる。さらに茨が食い込んでる部分がおかしな色になってきてるな。


「お前は……なんだ? 砂獣なのか?」


 俺は苦し気な声を出してそういった。すると目の前のヘドロから出てきたような人型の奴はぐぱっと一度口を開けたかと思うと、その口の中から、口を割いて新たなヘドロの人型があらわれた。

 なにその演出? いる?


『知る必要はない。わからない。知らない。ただ、お前は今日の餌』


 こいつはもしかしたら自分が何かわかってない? 砂獣ならおかしくもなさそうでもあるけど、こいつは一応言葉を発してる。知性をあまり感じない言葉しか言ってないが、喋れる砂獣というのは貴重だろう。それこそピローネとか都市核を内包した砂獣くらいしか知らないぞ。


 協会はいろんなタイプの砂獣を飼ってるのか、それとも作成してるのか気になるところだ。でも作ってるとなると……その材料は? って考えてしまう。そしてきっとそれは碌な材料は使ってないだろう。


 それにこいつは今、今日の餌って言った。つまりはこいつには毎日何かしらの贄をやってるってことだろう。実態がないこいつには普通の食事を与えることばできない。ならば食事というのは、今俺がこうなってることから『人』なんだろう。


 一体こいつは何人の精神を食ってきたのか……そしてそれをやってきた協会という組織が一層嫌いになる。

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