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「なんだここ?」


 俺はいつの間にか変な空間にいた。流れていく光……その光はよく見ると俺という存在の証明……そして歴史の様なもののようだ。ジゼロワン殿に会う前からの映像とかがたくさん流れてる。


「ここは俺の中……か?」


 精神領域みたいな所か。さっき確か老子バンドゥンが何かをやったような……そうだ、確かあいつが取り出したシンボルを見たときに、攻撃の様なものを受けたきがする。


「これは!?」


 俺はようやく自身の体に巻き付く茨の様なものに気づいた。てか気づくとなんだが、体を縛られてるような感覚が襲ってくる。茨には当然のごとく棘があった。なので、締め付けてくるたびにその棘が俺の体に食い込んでくる。

 ある種の拷問だな。まあ俺には痛みなんてほぼないが。なんかちくちくしてくるって感じ。それよりも……


「何か侵食してきてるな」


 そう何か傷をつけて俺という存在にしみこんでくるものがある。俺でさえ、それを完全に防ぎきることが出来てない。なぜかこんな空間にいるのがその証拠だろう。俺は自分の意志で自分の中に来たわけじゃない。

 攻撃を受けたからこうやってここに居る。それはつまり自分の自己防衛本能が働いたからかもしれない。でもこの何かは更にここまで侵食しようとしてきてる。


 時間をかけられると、俺という意識が乗っ取られる可能性はある。それだけ強力な精神攻撃。まさか自分にここまで影響を与えるアイテムを持ってるとはおもわなかった。


「慢心してたか……」


 俺はこの世界では敵がいない……ほどだと思ってた。実際、変質したピローネとかもそうだし、都市核を取り込んだ砂獣でさえ、そこまで危機感を感じてはいなかった。実際都市核を取り込んだ砂獣は俺と魔王だけでも倒せだろう。


 中央で召喚される砂獣も確かに強力だが、それでも俺達には届いてはなかった。だからこそ何が来てもどうにかできる――そんな慢心があった。それがこの結果。


「流石にまだ体の支配権は渡してないはずだが……今の状態でも危ないよな」


 俺が動けないと老子バンドゥンの部下連中が皆に攻撃をするだろう。結界は維持してあるが、老子バンドゥンは多分こっち系……精神系の魔法使いみたいだから、それは厄介だ。

 流石に結界でも精神系魔法は防げないからだ。それに外から中に入ることは出来なくても、中から外に自分の意志で行くことは出来る。

 精神を操作されれば、その程度造作もない。だから早くここから抜け出さないと。そうなると、俺に攻撃を加えてる奴を倒さないといけない。


「出てこい。姿も見せずに、俺を侵食することなんてできないぞ」


 そういうと、目の前に何かヘドロの様なものか湧き出した。そしてそれが増えていき、細長い人型を形作った。


「はやく……はやく……お前を食わせろ」


 口だけ開けて黄ばんだ歯を見せたそいつは気味悪くそういった。

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