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「どうですか?」

「ダメです老子、その悪魔は貴方をたぶらかそうとしてる。あと少しで――」

「おやめなさい。そのような疑う様な事。感じてみればわかるでしょう。皆も感じてるはずですよ。この方の力の大きさと、そしてその剣の放つ神々しさを」


 覆いかぶさり気味に老子バンドゥンが弟子なのか、ただの取り巻きなのかわからない連中の発言を止めた。今、あと少しで……って言ってたよな? やっぱり周りの連中は何かをやってるらしい。まあこいつらの力の流れは感じてた。

 ただそれよりもこの老子バンドゥンの方に注力してただけだ。あと少しでってことだから、きっとあと少しで構築しようとしてる魔法か何かが完成するんだと思う。それまでこの老子バンドゥンは俺たちをここに留めておく役目を担ってる……多分そんな所だろう。


(――となると)


 考えられる魔法はいくつかある。複数人で駆使して行う魔法は俺たちの世界にもあった。そしてそれは大体強力な奴だ。それはそうだろう。だって一人よりも二人……二人よりも三人で行う方が絶対に魔力の総量は上がるわけで、それによって出力が増えることになる。


 大規模な魔法を行使してるのはわかるが、さすがにこの世界の魔法はこの中央でほぼ初めて見たみたいなものだし、察することは難しい。


 でもさっき、砂獣を召喚してた。しかもかなりの大型の奴。となると、今度はアレよりも強力な砂獣とか? その可能性は高い。でも一回倒されたのに砂獣を再び出すかって感じはある。なら、直接的な魔法攻撃。それで俺たちをまとめて消し去る腹積もりかもしれない。


 それでも防ぐ自信はある。一応周りにも注意は向けてるが、やっぱり気になるのはのは老子バンドゥンの方だ。さて、こいつは俺のこの提案を受け入れるのか……


「どうしますか?」


 俺はもう一度そう聞いた。だって沈黙で時間稼がれて、周囲の準備が整うなんて……そんなのダメだ。それは反則、どっちかを選んでもらう。


「そうですね。なら、祈らせてもらっていいですか?」

「時間稼ぎは認めませんけど?」

「大丈夫ですよ。祈りはほんの数秒です」


 そう言って老子バンドゥンは袖に手を引っ込めて再びだすと、その手には何やら黒光りする、複雑な装飾の物を出した。あれはシンボルみたいなものだろうか?


 そしてそれを胸の前までもっていき、おもむろにこっちに素早く向けてきた。するとそのシンボルの中心には目玉があった。そしてそれを見た瞬間、なにかが俺の中に入ってきた。

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