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「あなたは何者ですか? 老子と呼ばれてるようですが?」


 向き合った変な格好の老人……いや変な格好してるせいで老人かどうか実はわからないんだが……アズバインバカラに来てた協会の連中と同じような格好してるんだ。

 変な模様が入った三角のローブをすっぽりとかぶったようなさ……そして顔の所にはでかでかとした目玉が書いてあるから余計に不気味。それに今は夜だし、その怪しげな模様が光ってるのも神々しさよりも不気味さを放つのに一役かってる。


 まあそう思うのは俺がこの世界の住人ではないからかもしれない。普通にあれが神聖だと教育されて育てばあの不気味さが神聖な物のように見えるのだろう。実際、俺以外の皆は老子と呼ばれる協会の奴に緊張してるようだ。


 それなりに高い地位にいるとはわかる。なにせすっぽりとかぶってるローブも周りの奴らとは高級感的なものが違う。他の一般協会の奴の模様はそこまで複雑じゃないし、それに布の質がなんか違う。老子の布は何か角度によって微妙にキラキラとしたものが夜の明かりでも見える。

 いや、夜の明かりだからよりってことか?


「その人は『老子バンドゥン』かれこれ百五十歳を迎えるといわれると、老子会の重鎮の一人です」


 老子ではなくローワイヤさんが答えてくれたけど、なんかまた一つ知らないワードが出て来たぞ。老子会って何? 老子って複数人いるの? それに百五十って……


「百五十? それは人なんですか?」


 俺は素直に思ったことを口にした。だって百五十って……この過酷な世界で百五十って……生きられるか? まあ中央は別に過酷でもなんでもないといわれればそうだが、でもそれでも……肉体はどうしても老いていくものだ。


 魔法で老いを遅らせる……とかは俺たちの世界の奴らも研究してたりする奴はいたけど……そもそもが俺の世界には人だけじゃなく、様々な種もいた。

 だから長命な種があるとは理解できるが、人の寿命なんてせいぜいが五十とか長く生きて七十とかだった。この世界はもっと短い。それこそ俺の世界のように魔法は一般には普及してないし、色々と物資とかも基本すべて砂漠だから必要なものがたりてない。

 体は頑丈だが、それはこの世界で生き抜くためには多少の怪我なんてものともしない頑丈な体が必要だったからだと思う。照り付ける日差し、常に飢える体。それでも襲ってくる砂獣。それらに立ち向かう為には頑強な体が必要だ。


 それこそアズバインバカラとかでは五十まで生きてたらもう長老クラスだ。それなのに百五十って……絶対にいっぱい悪いことをしてきたんだろうなって思える。


「失礼なやつじゃな。我は老子会七席に坐するバンドゥンじゃぞ。気に入らん、ひざまずけ」

「……えーとそう言われても……てか、どちらかというと、失礼なのはそちらかと思うのですが?」

「なぜじゃ?」


 うん? 俺が至極まっとうな事をいったのになんで返しが「なぜじゃ?」なの? ボケてるのか? まあ百五十ならボケててもおかしくはないが……そういえば老子会は七席まであることは確定したな。

 それ以上もあるのかは知らないけど。


「ひざまずけ! ひざまずかんか!!」


 なんか老人が癇癪を起してしまったみたいだ。これが老害か……と俺は思った。

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