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「行きなさいピローネ」

「うん!!」


 大きな爆発音みたいな音とともにピローネが消える。その速さはさっきよりも増してるように見える。これって……あいつが自身の力に馴染んでる……とかか? その可能性はあり得そうだ。なにせ一回死んで、まったく違う……ものすごい力を内包した体でピローネは生まれ変わったんだ。


 俺も魔王もこの体になったとき、とても苦労した。確かに大きな力は最初から使えたが、細かな制御は出来なかったし、ただ力を垂れ流してる……とかそんな状態だったいえる。

 確かに実力差があると、それでも大抵なんとかなる。でもあいにくと魔王はそんな生易しい相手じゃない。あいつは戦いの天才の様な奴で、戦いに関していえば、あいつはものすごく成長スピードが速い。

 いくらジゼロワン殿を頂点としてるピラミッドを形成してる関係とはいえ、俺が魔王よりも弱くなる……なんてことはあっちゃいけなかった。何かが崩れてしまうからだ。

 だから俺だって必死にこの力に向き合って、自分なりにどうすれば、以前の力を使えるのか……とか色々と研究して今がある。ようは単純に強くなるってことと、ちゃんと総合的に強くなるってことは違うということだ。


 それに体へのなれってのは存外大きい。ピローネはその子供という特性上、なれるのが早いんだろう。うまくスペックアップした体に適応してる。

 しかも直接俺を狙うような攻撃はやめたらしい。回り込んで賞金稼ぎとか、たまにローワイヤさんとかを狙ってる。多分これもペニーニャイアンの入れ知恵だろう。向こうはローワイヤさんを殺したいと思ってる。だからってローワイヤさんばかりを狙っても俺に阻まれるだけだ。でも全員を満遍なく狙えばどうか? 俺は一人にたいして、ローワイヤさんを入れて十人近くはいるわけで、全員を守るのは大変だとわかる。

 賞金稼ぎのみんながそれぞれに対処出来らそれが一番なんだけど……残念な事にピローネと彼らではその力が隔絶してる。だから流石に自分たちでどうにかしてくれなんて言えない。そもそもが賞金稼ぎの皆が反応できてないんだ。ピローネの牙に彼らになす術はない。だから守ることをやめることはできない。素直にローワイヤさんだけを狙ってくれればいいものを……かといってブレーンであるペニーニャイアンを殺すわけにはいかない。奴にはまだまだこの世界にとって重要なことを聞きたい。


 一応まだ俺の方が早いし、なんとかなってるが……


「ピローネこれを使いなさい」


 そう言って黒い鏡が、そこら中に何やら出してきた。それはたくさんの武器? けどそのどれもが装飾過多な飾りようの武器ばっかりに見える。


 あんなのが通ると? だがどうやら別に何の力もない武器でよかったらしい。


「うん!!」


 ピローネは適当に武器を投げ始める。ピローネの速度でそれをやると……なるほどとても厄介だということが分かった。

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