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 ペニーニャイアンは強がったが、疑問はきっと頭の片隅に湧き出たはずだ。でも、あいつにはそれを認めることは出来ない。なにせ多分だけど、今のピローネはそれだけの存在だと思えるからだ。なにせそこらの砂獣よりも全然強いし……それこそあれは都市核を取り込んだ砂獣よりも強いまである。

 そんな存在を人工的に作れるのなら、確かに中央が砂獣を脅威に感じずに優雅に過ごせてるってことが納得できる。まあ作り方がかなりアレだからな……だからこそ、広めてないのか、それともやっぱりただの独占欲? か。

 下手にこんな化け物のつくり方なんて広めたら中央の優位性ってやつが一気にやばくなりそうだしな。


(まあどっちみち、俺ならやれる)


 まだまだピローネも遊び感覚だが、それでもどうにかなると俺は思ってる。さっきの聖剣の四連撃をピローネは把握できてなかったし、あれは演技ではないだろう。

 なら俺が本気で動けば、ピローネはを一刀にすることは難しくない。だが勇者という自分の立場……というか、別に俺はもう勇者でもなんでもないが、それでもそう呼ばれてるし……子供を殺すのは抵抗がある。


 流石にピローネが許されることをやってきたかっていうと、それはないだろう。さっきだってあいつはなんの力も持たない執事やメイドの人たちを簡単に殺した。それに玄関でも……だ。きっとこれまでピローネはたくさんの人を殺してる。

 それは許されることじゃない。でもあいつも、惨く殺されたからな。それにそういう教育をしてきた諸悪の根源……と思われる奴がいる。

 そうペニーニャイアンだ。だからピローネのことはペニーニャイアンを捕まえて、屈服させてからでいい。


(なにか入れ知恵してるな)


 いくら力を得たといっても、ピローネは子供だ。その力の使い方は直情的。だからこそペニーニャイアンがなにか悪知恵を与えてるんだろう。俺はその様子を注意深く眺めながらもある一つの懸念を念頭に置いている。


(もしもピローネが追い詰められたとき、ペニーニャイアンまで餌にしないとは限らないよな)


 何か縛りがあるものなのかもしれないが、子供の行動とは予想できないものだ。追い込まれたら、何をやるかわからない。ペニーニャイアンは多分コントロールはつかんでると思ってるみたいだが……俺からすれば、ペニーニャイアンと今のピローネに特別なつながりは見えない。

 まあ、俺から見えないだけなのかもしれないが……世界が違うしな。でももしも本当になんのつながりも縛りもなく、生前の関係性が影響して従ってるように見えるだけなら……ピローネの力はペニーニャイアンにだって向く。


 そしてそうなってしまうと、こっちが困る。だから色々と調整する必要がある。


(厄介だな)


 そんなことを思いつつピローネを見てると「よし!」とか言ってるから多分来る。どんな入れ知恵をしてきたのか……俺は油断せずに聖剣を握る手に力をこめる。

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