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 迫ってくるピローネがメイドや執事を飲み込んだ触手の口をこちらに向けてくる。そして何かをはきだした。その全部がとがってて回転して放たれる。


 かなり一つ一つが細かい。それに俺だけにそれは向けられてない。かなり広く、こちら側一面を覆いつくすほどの面攻撃だ。今のピローネの攻撃には防御が無駄だし、かすっただけでもやばそうだと思える。


 実際、それが放った攻撃に適用されるのかわからないが、最悪を想定して行動した方がいい。きっとあれはさっき食べた人たちの骨で作ったんだろう。


 強度がそのままなら威力はそうでもない。ただ、俺以外にはかすっただけで致命的だから後ろに通すわけにはいかない。


 俺は一歩踏み出して、輝く聖剣を振るった。一筋の光と余波でピローネが放った礫の全てが吹き飛ぶ。もちろんピローネ自身も狙ってたが、避けられた。


「あはっ凄いね!! じゃあ、これは?」


 そういうと、今度はピローネの姿が二つに……いや、二つからさらに分裂して四つになった。そして一人は俺の方に向かってきて、三人が周囲からローワイヤさんと他のみんなを狙う。


 同時に複数箇所に攻め入るか……確かに有効な手段だ。どれかだけが本体なら、それを真っ先に狙って残りを消す……ということが出来ると思ったが、俺の目で分析する限り、どれが本体かはわからない。均等に力が四等分に分かれてる。

 ということは、全部が本物? そうなると、かなり厳しい。普通は……な。


「はあああああああ!!」


 俺の周囲に風が吹く。そして聖剣の輝きが激しさを増した。


「あははははは! 一度に全部は切れないよねえ!!」

「それはどうかな」


 俺は目の前のピローネに対して剣を振るってる。ガードの上から目の前のピローネを一刀に帰す。でも奴は笑ったままだ。でも俺もにやりと笑うよ。


「なんで……」


 響いてたピローネの笑いがやむ。それは自分の状況に気づいたからだろう。そう、他の三体の体も切り裂かれてたからだ。でも驚異的なことに真っ二つにしてやったのに、ピローネの奴は動いて一つに戻った。

 なかなか簡単に二度死んではくれないか……


「どういうことなの? 一回しか振らなかったよね? おかしいよ?」


 首を傾けてそういうピローネ。俺はそれに親切に答えてやる。


「別に、おかしなことじゃない。一回しか見えなかったのはお前がその程度の奴ってことだ。俺はただほかの奴にもちゃんと攻撃しただけさ」


「あはは、そんなことありえないよ。ねえ……ペーニャ、そうでしょ?」

「……ええ、そんなことはあり得ません。今の貴女に敵う者などいませんよ」


 微妙な間があったのは「もしかしたら」という懸念がペニーニャイアンにも生まれたからじゃないか? 脅しは効いてる。なかなかに骨が折れるが……ペニーニャイアンはたくさんの情報を持ってるだろう。その心を折って捕えられれば、こちらにとってとても有意義だ。そのためにもピローネを止める。

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