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「ペニーニャイアン様、非礼は侘びます。すみませんでした」

「あらあら、私はローワイヤに謝ってほしいわけではないわよ。それに貴方、変わったわね。昔は貴方、絶対に謝らなかった。たとえ自分がなにか下としても……ね。それなのに、他の方々のために謝れるようになるなんて……」


 頭を下げるローワイヤさんに合わせて俺たちも一応ちゃんと頭を下げる。やっちまった賞金稼ぎの人なんて、もう床に頭を擦り付けそうな態勢になってる。ある意味バカにしてる用に見えるから、そこまてましなくても……とは言えない。そもそもペニーニャイアンは彼を見てないし。


「私は成長しました。今の私は他者の心も汲めるのです。そして誰かの為に頭を下げることだって、私にはこうやってできます」


 本当はめっちゃ嫌なんだろうが……そこはグッとローワイヤさんは我慢してくれてる。それが出来るだけでも、たしかに彼女は変わってる。だって、出会った当初の彼女は本当にやりたい放題だった。俺の前ではいい子の皮をかぶってるが、ソレ以外にはひどいものだったからな。

 まあ今でも完全にそれは改善してはない。普通にメイドとかには容赦ないし、わがままなんて日常茶飯事だ。でも当初と比べたらよくなった。できない事を、できないんだと理解してくれる様になったし。


 当初の彼女は、こちら側がいくら無理と言っても、自分の立場を振りかざして、できないなんてないって言ってたからね。そんな彼女が、知り合って間もない、虫けら同然くらいに思ってる賞金稼ぎの為に頭を下げてる。

 これは凄い事だ。仲間意識とかあったんたろうか? なかったと思うんだが……これも割り切ってるって事か? でもそれもまた成長だ。以前の彼女なら、目的のためだからって、自分が頭を下げるなんてことは絶対にしなかっただろうし。

 本当なら、周囲に飛び散った料理をメイドや執事さん達が片付ける為に動くはずなんだろうけど、今の空気のせいなのか、飛び散った料理はそのままてあたりは惨状といい感じになってる。

 ペニーニャイアンは傍目、冷静に見えるが長年使えて来たであろうメイドや執事の人達が冷や汗を流してるのを見るに、今は結構ギリギリの状態だろう。いや、すでにぷっつんときてておかしくはない。


「成長……ね。ふふふ、あはははははははははははははははは」


 ピリピリとしてた空気の中、ペニーニャイアンが大きく笑い出した。その扇子から口元が出るほどに笑っている。それは数十秒続いて、その間俺たちは動けなかった。だってあまりにいままてのイメージと違ったからだ。てかピローネとかも口をあんぐりしてたから、多分こんなペニーニャイアンは初めてみたんだろう。

 けどそんな高笑いも唐突に終わりを告げて、氷のような瞳をローワイヤさんへと向けてこういった。


「やっぱり貴女は捨てて正解だったみたいね」


それは静かに……でも確かにこの部屋にいるもの達に届いただろう。

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