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「手紙はゆっくりで結構です。確か後少しで、お祭りの様な物が中央であると聞いてます。アズバインバカラの領主様たちも来ると言うことなので、その時に直接言って上げてください。

 ペニーニャイアン様の様な高貴な方に直に言葉を賜われるのは名誉ですから」


 俺はとりあえずますぐには帰らないということをペニーニャイアンへとアピールすることにした。最悪、ペニーニャイアン的にはローワイヤさんさえ殺せればいいから俺達の事は見逃して上げてもいいよ――と言ってたのかもしれない。でもそれでは意味がない。


 確かに俺とローワイヤさんはそんなに深い関わりはない。けど知り合ってしまったからな。それに彼女は中央に入り込む足がかりで、そして神託の巫女という多分、この世界にとって重要な存在。それをこちら側が一人でも押さえて置けるってのは大きい。


 ラパンさんはこの絶望的な世界で、どうにかして皆を救う術を探してる。それは上も下も関係ない、諸々世界全部をまとめた救済の方法だ。時限式の様なこの世界で、それはとても難し気な訳だけど、実際、アズバインバカラには沢山の知り合いが出来たし、このままこの世界がその内破滅してしまうとわかってて見捨てるなんて、出来ない。

 確かに俺達は再び世界を渡れば、この世界の崩壊に巻き込まれる事はないだろう。この世界が終わる前にサンクチュアリを見つけて、目的を達成すれば、この世界にはようはない。

 けど……だ。俺達はすでに色々と助けてもらったりしてる。このラパンさんにはもちろん、普通の人達にだってそうだ。ここまでついてきてくれた賞金稼ぎの面々だって……この世界の事を色々と教わってきた。

 だからどうにかしたいと……そう思う。そしてここまできて思う……


(中央は、全然深刻そうじゃないんだよな)


 まあアズバインバカラだって普段からこの世界が時限爆弾みたいなものだから、暗いかといったら、全然そんな事はない。寧ろみんな、日々を精一杯生きてる。

 でもここの連中はそれとは違う気がする。なにせ砂獣に対する魔法よりも、料理系の魔法の研究に熱心だったりするんだよ? もしも、この世界が終わることはを受け入れてるとしても、もっと別に研究する物がいくらでもあるんだろう。

 

「そうですか。それは楽しみですね。今年の『センセンラハト』は特別なものになる予定ですからね。それまでいらっしゃるのなら、ここで面倒を見ましょうか?」


 なんかペニーニャイアンが太っ腹な事を言ってくる。いやいや、でもこれも裏があるだろう。さっさと出ていけか……でも俺達を殺す気なら、この屋敷で全てを済ませたほうがいい気もする……本気か?


「それは大丈夫です。ラパンさんがアズバインバカラの領主邸を使っていいと許可を取ってるので」


 この中央には各町の領主が集まるだけあってそれぞれの屋敷も当然有る。それを使えるようにとしてある。最初からここにお世話になる気はあったけど、保険でそっちの準備もしてた。

 まさか最初から頼る気だったペニーニャイアンが黒幕とはびっくりだが、保険があってよかった。まあここから無事に出れるかはまだわからないが……

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