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 俺達はあれからしばらくして、どこからともなく聞こえてくる声に呼ばれた。どうやらこの屋敷というか建物は、案内してくれるシステムはないらしい。じゃあ、あのドアの前で勢揃いしてたメイドや執事っぽい人達は一体何をやってるのか? いや、掃除とかはきっと必要なんだろう。

 それに料理だって、いつだって魔法で作り出した物を食べてる訳には行かないだろう。あれって栄養なわけではないし……あればっかり食べてたら、そのうち倒れることは必死だ。

 だからきっとちゃんとしたものも食べてる筈でそういうのの担当なんだろう。もしかしたら普段は姿を見せないのが、この中央では普通なのかも? まあここしか知らないから、よくわからないが。ローワイヤさんはそんな事は言ってなかったが……やっぱりペニーニャイアン所だけの特別な仕様か?

 実際、魔法をここまで使ってるのがそこまでたくさんいるのかと思うしな。この世界の魔法の普及度的に。多分ここは異例な筈……だとおもいたい。


「これって入って大丈夫なんっすよね?」


 賞金稼ぎの一人がそんな事を言う。まあいきなり現れた黒い鏡だからね。怖がるのも無理はない。それに……俺は一度この黒い鏡を通る時に攻撃されてるしな。「大丈夫」って安易に言えないんだよな。


(でも、一度失敗してるしわざわざこれで仕掛けてくることはないか?)


 そう考えるが……実際の所は完璧に相手の心理を読むなんて無理だ。それに俺は別にそういうのが得意な方でもない。とりあえず俺には出来る事をやるしか出来ないよな。


「皆さん、一箇所に集まってください」


 そう言ってとりあえず出来るだけみんなを一塊にする。流石にみんなをすし詰めにって訳には行かないが、まあそこまでする必要はない。別に個別に掛けたっていいくらいなんだが、今はどんなに少ない力でも無駄に支度はないからな。


 ジゼロワン殿が居ないから俺は力を回復することが基本的に出来ない。この世界と俺のこの体の力は違うからだ。ジゼロワン殿が言うには、世界はそれぞれ力の質が違うらしい。だから俺にはこの世界の力を自信に取り込むことが出来ない。

 それが出来るのはそういう機能をもってるジゼロワン殿だけだ。だからなるべくは節約していきたい所だ。俺は集まった人達に一気に防護の魔法を掛ける。この世界の人達はやたら頑丈だから、こういうのをあまり必要としないが……実際あったほうが絶対にいい。それだって本当は協会がそれを広めないと行けないと思う。


 なにせ前線で戦ってる兵士や、賞金稼ぎの人達は消えない傷がたくさんあるし、部位がなくなった人達だっている。それがこの……いや、これだけのものでもなくても防護魔法があるだけで、防げた物はたくさんあったはずだ。

 確かにこの世界の人達は頑丈だが、それでもやっぱり前線で戦ってる人達には傷が絶えないんだから、必要だとわかるはずだ。


「これは……優しい光ですね。勇者様に包まれてるようです」

「自分の力で皆さんを守ったので、なにか仕掛けられても大丈夫な筈ですよ」


 まあ外的要因にはこれで強くなったが、食事に毒でもあったらヤバいが……それはすぐに回復魔法を使うしかないだろう。毒だったら、一瞬で死ぬ……なんて事はないだろう。

 この世界の人達はやたら頑丈でしぶといしな。毒なら、余計に苦しむという意味だが、それは俺が駆けつける時間が有るって事だ。とりあえず賞金稼ぎの人達には警戒を怠らないように……ととりあえず口を開かないって事を伝えておいた。

 はっきり言って立場が違いすぎるからな。下手に無礼を働いたら、それを理由に正当な死刑……正当な死刑ってなんだよって感じだが実際、使われそうだからな。後はフェアにも注意をうながす。他のメイドの人達は出来た人達だ大丈夫だろう。


「それでは行きましょう」


 先頭をローワイヤさんに任せて俺達は現れた黒い鏡に踏み入った。

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