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「さっきの変なのは一体何だ? そこには扉なんてなかったぞ」

「あれは移動魔法みたいなものですよ。どうやらペニーニャイアンさんはこの建物を自由に組み替える力とつなげる力をお持ちのようだ。後はかなり卓越した魔法を使う」

「それは……すげーんだよな?」


 皆さん真剣そうだが、流石に俺の言ったことがどれだけのものなかって事がよくわからないらしい。まあそれはそうだろう。どうやら魔法技術とかは協会が独占して、ショボいものしか下におろしてないみたいだからな。

 だからこの世界の人達は魔法にそこまで希望とか羨望とかない。確実に広まったら、もっと楽に砂獣に対処出来ると思うんだが……それを協会は良しとしないらしい。

 そしてそれに納得してる、王家? 側も謎だけどな。


「かなり凄い。はっきり言って、彼女なら、俺達がここでこうやってる会話だって聞いてておかしくない」

「それはやばくないか?」

「まあでもこのくらいなら別にいいんじゃないかな? 俺達は初対面だし、普通は警戒くらいするものだろう?」

「だが神託の巫女さまだからな……俺達一般人なんてひれ伏すだけがゆるされた存在だぜ」

「その割にはローワイヤさんには結構普通じゃね?」


 どういう事だお前ら。一応……そう一応ローワイヤさんも神託の巫女……らしいぞ。それを証明とか、そういう特別な力を見せてもらった事は一度もないが、ペニーニャイアンの態度や、そもそもラパンさんがそれを認めてるだから、そうなんだし……


「いやいや、俺達だってローワイヤ様にはそれなりの態度取ってますよ。ただ、旦那と一緒にいると、あの人めっちゃ気安いから」


 そうなんだ。まあ確かに俺が居たら、ローワイヤさんは機嫌がいい。というか、俺の前ではいい顔を見せようとしてるって言う方が正しい。その割を食ってるのが、メイド達だと思うが……俺の視線を受けても、彼女たちはなにか言うなんて事はない。それが仕事だと割り切ってるからだ。寧ろここで安易に反応したら、このあと俺がローワイヤさんと離れた時になに言われるかわかったものじゃない。

 でもそこは経験が浅いフェアが「あはは」となんか乾いた笑いを漏らした。けどすぐに同僚に合図されて引っ込めたけど……まあけど、ここではそんな仲間内で色々とやってる場合では無いと思う。


 なにせ、ペニーニャイアンはいつだって仕掛ける事が出来るからだ。彼女は俺も狙って来た。という事は、ローワイヤさんだけ消したらいい――って思ってるわけでは無いみたいだ。

 俺達全員が消される対象だと見ていい。多分殺された後は、ピローネのあの砂獣の子供みたいなのの餌になるんだろう。あれに処理させれば、死体だって残らないわけだしな。


 もしも俺達が戻らなくて、何かあったとラパンさんが抗議しても、証拠なんて物はない……それに立場的には中央で神託の巫女のペニーニャイアンの方が立場が上だろう。ここで事を起こせば、有耶無耶にすることなんて簡単。


「みんな、此の後、ペニーニャイアンさんが食事会を開いてくれるらしい」

「まさか俺達もそこに?」

「そう言ってたと思うけど」

「ええ、ペニーニャイアン様はそのつもりでしょう」


 俺とローワイヤさんがそういったからみんな驚愕してる。実際あんな人が庶民と一緒に食事をするって事はないんだろう。


「えっとそれは食べても大丈夫なんですか?」


 フェアがおずおずと手を上げてそういった。まあそうだよな。

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