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『おかえりなさいませローワイヤ様!』


 そう言って玄関前に並んでる執事やメイドさんが頭を下げる。実際、こっちにもメイドはいる。フェアも今は一応ローワイヤさんのメイドである。けどかっちりとした服を着てるわけではない。


 俺も自分の世界のメイドの基準で考えてしてしまうと、はっきり言って向こうの方がメイドらしい。黒と白を基調とした服には派手さはなく、ただ質実剛健さが漂ってる。けどこっちのメイド達は薄い布に、肌もかなり見せてるからな。

 まあそれが普通の服装だし、布はそれなりにいいのを使ってる。だから別に失礼にはあたらないだろう。なにせこの世界は熱い。砂漠が広がり、太陽は燦々と輝き、曇ることは殆どない。そんな世界だから、皆が涼しい格好をするのは当たり前で、この中央の方がどっちかというと異質だ。


 確かにこの中央に入ってからはそれほど暑さを感じない。だから中央の人々は他の街とは違う感じの服装に成ってるんだろう。


「私もいるんだけど?」

「ピローネ様はお散歩ご苦労さまです」

「まあいいわ、なんだローワイヤちゃんのわかってたんだ」

「それは勿論。連絡はありましたから」

「ちょっと教えてよ〰!」

「ははは、ペニーニャイアン様のいたずら心ですよ」

「もー」


 何やら和気藹々としてる。少しほっとする光景だ。あの年老いた優しげな顔したおじいちゃんが多分この使用人の中で一番えらいんだろう。


「ペーニャは来てないの?」

「お二人で向かわれるとよろしいでしょう。美味しいお菓子を揃えてお待ちですよ」

「わあ! ほらローワイヤちゃんも行こう!」

「まってピローネ」


 そう言ってローワイヤさんが俺を見る。まあ、一人で活かせる訳にはいかないよね。なにせローワイヤさんの命を狙った張本人だ。何が起きるかわからない。流石に直接手を下す……なんて事はないと思いたいが、俺はそのペニーニャイアンをしらないからな。


「どうしたのローワイヤちゃん? ペーニャ会うの嫌?」

「嫌とかじゃなくて、えーと、そう紹介したい人がいるの」

「紹介したい人?」

「そうなの……それはね――」


 そう言ってローワイヤさんが俺の方へと歩いてきた。そして腕を絡める。そしてピタッと寄り添った。反射で体を離そうとしたけど、ローワイヤさんが小声でこういった。


「お願いします。合わせてください」


 どうやらこれはふざけた事ではないみたいだ。なら……付き合うか。


「――この方が私の伴侶となる人よ。だから勇者様も連れて行っていいでしょう?」

「しかしそれはペニーニャイアン様がお許しには……」

「誰に物をいってるの? 貴女の意見は聞いてないわ」


 老齢の執事の言葉を一蹴したローワイヤさんはピローネの方をみる。すると彼女はなんか目を輝かせてた。


「ほぁーわぁー、へーそうなんだ! 凄い凄い。うん、いいよ」


 ニコニコとしたピローネはそう言って了承してくれた。これでなんとか、ローワイヤさんを一人で黒幕の所に連れて行かれる事態は阻止できた。

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