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 はっきり言って、自分たちが持ってきてた食料なんてほぼ足りなかった。最初はただ食料を置いて行こかと思ったんだけど……ここの奴らには秩序やら、譲り合い……そんな高尚な精神はかけらもなかった。

 だから食料を置いて行ってしまったら、子供たちがそれを獲得することはたぶんほぼ無理だろうと……そう思ったんだ。悲しいが、本当に逼迫した人に他人を慮ることなんて出来ない。


 なにせここに落ちてしまった人たちは、それだけギリギリなんだ。明日には死んでるかもしれない……そんな人達がいっぱいだ。だからそうなると、普通に体格的に有利な大人……それも男ばかりが食料を独占することになる。それはだめだ。それに気づいたから、一応直接配る事にした。 

 まあこれも完璧なんかじゃない。だって俺達が去った後に、もしかしたら弱い者から搾取する奴らが現れるかもしれない。けど……流石にそこまで面倒を見ることは出来ない。なにせ俺達も暇ではない。なにせ宵になると、皆さん寝てしまう。そうなると行動は出来ない。


 でもここは中央だ。ようは協会の総本山。奴らは宵を克服する術を持ってる。そうなると、宵も安心はできない。一応俺がいる限り、宵でも手を出すことは出来ないが……でも俺が休む時間がなくなるからな。


 いや、この体、実際精神的な疲れ以外感じたことなんかないんだがな。この体になって疲れを感じる程の戦闘は魔王とやってた時と、宵を深く調べようとした時くらい。


 じっさい日中の戦闘で疲れた……なんて事はなかった。だからまあ、肉体的には大丈夫だと思う。けどやっぱり精神的には疲れてくる。まあ宵に送られる奴らがどれだけの奴らなのか……そして協会がどんな戦力を持ってるか……それを見るには丁度いいとは思う。


(でも、流石にそこまで危険視してるかはまだわからないか)


 こうやって仮面の刺客を送って来てるがこいつら事態は別に魔法とかを使えてない。つまりはその程度の刺客なのかもしれない。そしてローワイヤさんはその程度の刺客程度でいいと思われてる存在という可能性もある。


 それなら宵にまでわざわざ刺客を送って来る事はないかもしれない。


「さて、最初のお前たちの仕事だ」


 俺はそう行ってぐるぐるに縛ってる仮面の奴らに凄む。とりあえず、目的地へと行くことにする。はっきり言って、ローワイヤさんの案内ではとても心もとなかった。

 まあローワイヤさんだけのせいではなかったと思うが……


「我らが貴様らに協力するとでも?」

「協力なんてしなくていい。ここ行くにはどうしたらいい?」


 俺はそう言って目的地の名前を書いた文字を見せる。これを書いたのは俺ではない。そしてそれを見ても仮面の奴らが何も言わないのはわかってる。でもそこで俺は魔法を使う。


「お前たちは、素直になれる奴らだと俺は知ってる」

「ああそうだ。そこへ行くにはこのまま真っ直ぐに行って――」


 仮面の下から聞こえてくる言葉。それは何個もある。だって全員が同じ様な説明をしてるからだ。きっと口が勝手に動いてて、心では必死に止めようとしてるだろう。でもそれは無理だ。

 なにせ今のコイツ等は俺の魔法で素直になってるからだ。

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