表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
257/1598

166

 「神託の巫女というのはなんなんですか?」


 当然、俺はそれを聞く。そしてラパンさんも当然それはわかってたのだろう、ちゃんと返してくれる。


「神託の巫女というのは、協会が有する八人の特別な能力をもった女性のことです」

「特別な力……神託とかいうから予言とかするのかと思ったんですけど……」

「確かにそれをできる巫女もいます。というか、その一人以外の神託の巫女の力は公表されてはいませんね。一応いくつかはこれまでの実績で判明はしてます。ですが、彼女がどんな能力を持ってるかまでは……」

「その神託の巫女の顔はわかってるんですか? 彼女が本当にその存在であると?」

「私は中央に行ったときに、何度か彼女を見てますので」

「なるほど……」


 どうやら彼女『ローワイヤ・ヤンナヤイナ』さんはかなり重要な立場に教会の中でもいるらしい。でもそうなると不思議なことがある


「そんな重要な人が少ない護衛で街の外にでるんでしょうか?」


 実際、護衛が少なかったか……はよくわからない。なにせその現場はジゼロワン殿しか見てないわけだからだ。俺はただその状況をジゼロワン殿から聞いただけ。もしかしたら十分な護衛がいたのかもしれないが、出会った砂獣が強力なやつだったか、数が多かったか。まあそもそも……だけど、神託の巫女って立場の人たちがどういう扱いなのか俺にはよくわからないが。多分、めっちゃちやほやされてるとは思う。

 なにせ彼女、俺には普通に礼儀よく、それこそ敬意を持って接してくれてるが、すでにいくつか問題は起きてる。この宮殿の食事が口に合わないとか、既製品の服なんて着てられるか……とかね。俺に対してはとても丁寧なんだけど……やはり協会関係者としての片鱗は実はもう見えてる。


「中央は魔境ですから。なにか起きて飛ばされた……とか。神託の巫女は仲が良くないとも聞きますからね」

「女の権力闘争があると?」

「聞きますね」

「もしかしたら、彼女が襲われたのも実は偶然ではなかったり……」


 なんかラパンさんがとんでもないことを言い出した。まさか、協会の奴らにはそんなことも出来るやつがいると?


「協会は様々なことを隠しるのは宵に動ける手段を持ってることで明らかです。砂獣を操れてもおかしくないのでは?」

「確かに可能性としては否定できないですが……」


 協会はどうしたいのかよくわからない集団だ。その知識をちゃんと使えば、もっと色々と出来るようになるような知識だってあるんじゃないだろうか? 宵に動ける人たちを増やせれば、生産性とかは上がるわけだしな。それに権力だけが目的なら、協会の上に王的な奴らがいる現状もよくわからない。協会側なら、簒奪する機会なんて、それこそ腐るほどあったはず。権力でも、この世界を救うことでもないのだろうか? 協会なのに……


「そこら辺も色々と中央で探ってみますよ。とりあえず、ローワイヤさんにこのまま傍若無人に振る舞われたらアズバインバカラの人たちも迷惑でしょうし、僕が中央に連れていきますよ。彼女もきっと戻りたいでしょうし」

「その話に乗ってくれると、我らとしても助かります」


 目的をあとから足した感じだが、これで誰も文句はないだろう。魔王もジゼロワン殿も勝手に動いてるんだし、俺だって多少勝手やってもいいよな? いや、やる! 俺はこれまで型破りなこととかやってこなかった。でも今は、世界や責任に縛られてはない。ジゼロワンに縛られてるといえば縛られてるが、あの方は我らに何かを命令なんてしない。だから、自由にやれる。厄介なことがきっと中央では待ってるだろう。だが……それもある意味楽しみだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ