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「失礼しよう」

 

 そう言ってラパンさんが来たのはなんと昼頃だった。それまで彼女フェアとは予想以上に仲良く……仲良くなったかな? 沢山の身の上話を聞いたし、こっちも俺の世界の事を色々と喋った。沢山の冒険譚だ。それをフェアは目を輝かせて効いていた。もっと早くラパンさんには来て欲しかったが、彼がとても忙しいのも知ってる。だからワガママを言うつもりはない。それにズンジャイサンバの件はどう見積もっても、そんなに急務ではないんだろう。


 いや、フェアに取っては急務だけど、アズバインバカラ視点で見るとそうでもないって事だ。なにせズンジャイサンバはここからかなり離れてる。介入とか出来る訳もない。兵を送る? 無謀だし、街との関係とかが俺にはどうなってるかわからないが、きっとややこしいだろう。それにズンジャイサンバに行くには最近滅びた街を通ることになる。それはリスクがありすぎる。結局の所、話を聞いてズンジャイサンバの現状を知る以外に、ラパンさんにはやれる事は無いのでは? と思える。


「勇者殿、客人のもてなしを任せてしまって済まない」

「いえ、そもそもアレが連れてきたので」


 アレと言うのはジゼロワン殿だ。だが、ラパンさん達にはジゼロワン殿のはタダの大きな使い魔……くらいに思って貰ってるから、必然的にジゼロワン殿のやったことは俺達の意思の様になってしまう。この状況はどうにかしない。てか勝手に動くのは見られてるんだし、ある程度の自律的な行動をしてるって思って欲しい。ジゼロワン殿も結局厄介な事は全て俺達に……というか俺に投げれるからって、自由にしすぎだ。


「そちらのお嬢さんがズンジャイサンバの?」

「『ウェイファエア』です。フェアとお呼びください」


 随分と落ち着きを取り戻してた彼女だけど、流石にアズバインバカラの領主のラパンさんを前に再び緊張してる。まあ無理もない。俺達はかなり気さくに接してるが、事実上、彼は偉い。それこそ、一般人なんてラパンさんの鶴の一声で処刑くらいは簡単だろう。そんな事をする人ではないが……


「ではフェア、ズンジャイサンバで何が起きてるか、話して貰えないだろうか? 辛い事だろうが、頼む」


 そういってラパンさんは頭を下げる。それにフェアはビックリしてる。なにせ街のトップがただの一般人に頭を下げてるんだ。それは驚くだろう。でもそう言う事が出来る人がこの人だ。この街はだからこそ、こんなに健全に発展してるんだろう。ラパンさんは凄く有能で、そして情に深い。なによりもこの街をだれよりも愛してる。だからこそ、俺達もここにとどまってる所あるしな。本当なら次々と街を転々とした方が良いはずだった。でも関わってしまったからな。

 そしてこの人の力になってやりたいとも思ってしまう。そういうのはきっと人を引き付けるカリスマ的な物なんだと思う。俺は「この人なら大丈夫」と言う意味を込めて、フェアの手を強く握ってあげる。勿論痛くない程度にだ。


「わかりました。ズンジャイサンバの事、知って欲しいです」


 そう言ってフェアは彼女の街で何があったのか……話し出した。

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