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 私はG-01の指の先を放った。正確には右での小指の先だ。細かく操作して丁寧にあの場に行かせる事も出来るけど、そんなまどろっこしい事はしない。G-01の指の先は屋根を突き破り、壁さえも貫通して突き進む。ちゃんと進路には誰も居ないことは確認済みだ。流石にアズバインバカラの宮殿で同じような事をしたら、事故りそうだけど、今のジャルバジャルは復活したばかりでまだそんなに人がいない。


 この城の広さの割にはスッカスカと言える位の人しか居ないから、全然大丈夫。マジで死ぬまで五秒前のラパンさんの息子の部屋へ一秒くらいで到達すると、そのまま小指の先はそのまま息子へと突っ込んだ。そしてその胸へと入り込む。


「ぐふっ!?」


 一瞬、息子がビクンと体を反らした。まあ異物が入り込んだ訳だからね。そう言う反応にもなるだろう。でもこの場にいる人達は私の所業には気付いてない。なるべく小さい所を選んで放ったわけだけど、G-01の小指はそれなりにはデカい。人間の通常サイズの胸へと入り込んだら、普通なら即死である。それに周囲の人達に気付かれない程の速度でぶつかったんだから、それこそ心臓とか弾けてておかしくない。


 でも大丈夫。ブッ刺さったG-01の小指が心臓の代わりに血液を巡らせてくれる。まあ厳密には血液というか、私の力だが。それで一度殺してでも死んでないからこれ以上死ぬことはない。それにおかしくなった胸はちゃんとまともに見える様に光学迷彩してる。まさに完璧。完璧犯罪だ。


 でもまだこのままじゃダメだね。一応G-01の力で延命したが、都市核の力が流れてるのは変わらない。


「AI!」

『そんな風に当たり前のように読んでもダメですよ。ちゃんと御自分でやってください』

「このケチ!」


 このままでは常に息子には都市核の力の影響があり続けるからね。それに耐えられる精神もして無いし、私は彼の体に刺した小指を利用して息子を蝕む都市核の力をこっちに流す計画をたててた。息子の奴はこっちの力で無理矢理生気を与えたから、あとの問題は都市核の力だけだ。


 でもそのシステムが厄介なんだけど。与えるのは押しつけるだけだけど、流すとなると、色々と整合性とかコードとかが必要だもん。私はうんうんと唸りながら、なんとか小指に都市核の力を吸わせて、それをこっちに流す道筋を作った。


「疲れた……」

『お疲れ様です』


 労いの言葉なんていらないよ。だってAIがしてくれたら、簡単だったのだ。それを私にやらせたから頭がいたい。


「ん……俺は……生きてる……のか?」


 私が頭を押さえてるとそんな暢気な事をいってラパンさんの息子が信じられない……みたいな顔してそう言ってた。だろうね! だってお前本当は死んでたし! 


「俺は生きてる……生きてる! 生き残ったぞおおおおおおおおおお!!」


 そう言ってベッドをボフンボフンと叩きまくってる。あいつ、マジで自分が奇跡を起こしたとおもってるね。流石に全快は不味かったかな? 

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