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『余計な事をするな』


 私はそう言って勇者を怒る。とりあえず威厳ある感じで言う。G-01の印象ってどこがて固定するか迷ってるよね。AIが応答してた時もあったみたいで、なんか人格が二つあるとか思われてるんでは? 時々素で応えたりしてたし……でも私の方針では基本尊大な方で行きたい。


「すみません。ですが、放っておけなくて」

『ならお前が運べば良いだろう。そのくらい楽勝な筈だ』


 私はグチグチと言ってやる。だって面倒な事はちゃんとノーと言っておかないと、これからもことある度にこき使われるのだ。こういうのは最初が肝心。それに立場的には私が上だからね。出来るのなら自分でやれって言うのは正しい。トップに雑用押しつけちゃいかんよ君――って奴だ。


 勇者は前の世界でその存在自体が変わった。アップグレードされたといってもいい。だから荷物を持ってこのアズバインバカラとジャルバジャルを一日で走破くらい出来るでしょ。


「確かに出来ますが、そこまで見せて良い物か……ですがジゼロワン殿なら自然に出来ます」


 一理ある。この野郎、論理武装で攻めてくる気か。確かにこれ以上勇者が規格外と思われるのもね……別に思われても別に良いんだが、一番この世界の人達と友好的関係を築いてる勇者が恐れられると面倒ではある。そんなのはあのバカな魔王だけでいい。別に仲良くする必要も無いんだけど……それなら最初から秘密裏にやるべきだったよね。


 こうやってもう色々と関わっちゃったし、そうなると勇者的には助けたく成ってしまうんだろう。このお人好しめ。


 忘れてたけど、今は宵だ。なるべく早くジャルバジャルに出発するけど、流石に一日で物資を集めるのはね……無理だった。けど明日にはジャルバジャルへと出発する予定だ。この世界、夜には作業とか全く出来ないから、日中でやれる事は全部やるしか無い。


 それを考えると皆さんめっちゃ頑張ったんだなって思う。普通にいけばジャルバジャルまでは数日はかかる日程だ。勇者達も最初はそうだったし。それまでジャルバジャルに居る人達は僅かな水と食料で頑張って貰うしかない。いや、水はあるのか。確か都市核を再起動させたからそこは大丈夫らしい。


 ならゆっくりいっても大丈夫じゃない? 魔王がいれば、流石に到着するまえにジャルバジャルが再び砂の下に沈むなんて事は無いと思う。まあなるべく早くした方がいいのはわかるけどね。でも私は勇者ほどにお人好しじゃない。それにネナンちゃんも気になるし……


 

「今日は動きそうにないですね」

『そうだな。あの子の為にも私はここを離れる事は出来ない』


 ネナンちゃんはこの世界のサンクチュアリ保持者第一候補である。目を離すなんて事は出来ない。うん良い理由だね。私達は今日も協会の奴らが動きださないか見張ってる訳だが、今晩は大丈夫そう。やはり協会の奴らが誰でも動ける訳ではないみたいだ。


「そのネナンちゃんと言う子の為でもあります。ラパンさん達の世界での影響力を高めるには早期にジャルバジャルを復興させるべきではないですか? 協会への良い牽制になります」


 むむむ……確かに協会を毎晩見張っておくのは面倒だ。まあ実際はAIに任せて私は寝る気だけど……信頼できる味方の影響力は強い方がいい。今ならジャルバジャルは完全にラパンさん陣営に取り込める訳だしね。


 私は次の日、勇者の口車にのって少しずつ運ぶ予定だった物資を一日でジャルバジャルへと運んでやった。

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