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 幸福な時間が進んでいく。きっとここはどこかの集落なんだろう。そんなに人がいるようには思えない。まあ外に連れ出してくれないからよくわかんないんだけど。平和な時間。あたたかな雰囲気……あの世界で私が知ってるのはそれこそ雪にとざされた世界なんだけどどうやら、この時期はまだあったかかったみたいだ。

 だいたい半袖とかの格好だし? それに家の中にサーフボードみたいなのもみえる。それになんか波の音? が近い気がする。海がすぐそばにあるのかもしれない。

 なんかこの家の家族は森で生活しててもおかしくなさそうなんだけど……近くは海みたいだし、先住民的な恰好な割には家には文明がみえる。うまく自然と科学が融合してるというか? 上手く付き合ってる感じが見て取れる。

 だって家にはモニターがないモニターとか、チョンっと触れたらぶわっと周囲に広がるインターネットとか……なんかそんな感じの自然とは言えないテクノロジーが見えるのだ。電話とかだってそうだ。なにか彼らはチップでも埋まってるのか、時々頭の側面の所が光るときがある。

 派手に光ることはない。でもなんかちかちかとするのだ。するとその近くをトントントン――と三回たたいてそのまま手を置いてると、しゃべってるんだよね。

 言葉は聞き取れない。まあけどそれも時間の問題だ。だってG-01は今も記憶の解析をやってるはずだ。言葉にはパターンがあるはずだし、あとはこうやって見てる表情とかも何を言ってるのかのヒントになるだろう。

 だいたいペットに向ける感情というのは純粋なはずだ。だからその表情と向ける言葉に剥離があるとは思えない。直接的に、直情的にペットには感情を向けてるはず。だからきっとこの家の家族は私を愛してる。

 それが分かる。なんかとても平和な日々が過ぎてる。こんななんでもない日常の中で、何が起こるのか? ちょっと想像できない。だってこの世界の未来は「ああ」なったのだ。この平和はもうすぐ終わる。でも今はまだ、この存在にはサンクチュアリはない。ふつうのペットだ。


 でも気になることはある。それは絶対に連れて行ってくれない部屋だ。隙間からちょっとみたらそこにはなんか珊瑚? みたいなのが見えた。いやいや家の中で? と思うが、まあ珊瑚ってきれいだしね。ここは頑張ってあの部屋に侵入してほしいってこの子には思う。


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