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 自身の意識を電気信号に乗せることで、私の視界は白く輝いていく。リラックスするように背もたれが出てきて、私は体を上に傾けていつもよりも高く感じられる浸ってる脚から感じる水温が気持ちいい。自然と意識が肉体から離れていくような感覚。


 気付くと私の視界は低くなってた。


「○○○○、○○○○」


 なにか声を掛けられるのが分かった。顔に何かの塗料かなにかで模様を描いた褐色の少年が変な生き物を私に差しだしてくる。それはなんか足が十本以上あるネズミみたいな? そんな生き物だ。それになんか足が長いぞ? ネズミってずんぐりむっくりしてる感じじゃない? あれじゃまるで足だけキリン……いやそこまでじゃなくカバ? みたいな? サイでもいいけど……


『うげー』


 ――とか思ってたら、私はそれに嬉しそうにかぶりつく。


『ぎゃああああああああああああああああ! 口の中に感触が! 血の味があああああああああああ!?』


 あまりにもリアルに感覚を得てたせいで、私の口の中には今の生き物の感触がばっちりと伝わってきてた。G-01の性能の高さがまさかここで裏目に出るとは……私は急いで感覚を鈍くするように調整した。それでも……それでも……だ。


「うげー、記憶にこびりついたよ」


 なにせ私はここ、このコクピットにいる間。この口から何かを食べた……ということがないのだ。食事は記憶にあるだけだ。もちろん私は栄養が与えられてる。だから栄養不足になる……ということはない。でもそれは口から接種するものじゃない。

 私につながってる管とかで入れられてる。だから私はここで目覚めてから食事なんてしてないんだよ。記憶にある食事もそろそろあいまいになってる。そんな中、ようやく入ってきた口の中での感触が、よくわかんない生き物の肉の感触だよ? しかもなんの処理もしてないような……料理一切なしである。

 それがいきなり口の中に広がったのだ。野生動物はそれが普通なんだろう。いや、なんか餌みたいに与えられてるし、このウサギな彼女の前身? は野生動物ではなくペットの可能性が高いが、でも与えられてる餌はペットフードみたいなものじゃないからね。

 それならまだここまで拒否反応はなかっただろう。だってペットフードってなんか味が薄い感じなんでしょ? 私は食べたことないから当然知らないが、私の遠い記憶ではそんな感じだったと思う。人間の感じる味では動物には濃すぎるみたいな感じだったはずだ。

 でも薄いくらいなら今のよりも全然いい。だって生臭さと血の味がひろがってるからね。ウサギな彼女……というかウサギのような彼女はおいしそうにがぶがぶ食ってるが……てかウサギって肉食だったっけ? いやそもそもが世界違うからね。肉食のウサギだとしてもおかしくはない。


 とりあえず私は感覚を鈍くしてなんとかこの苦痛の食事を乗り切った。吐きそうになったのはこの状態になって初めてだよ。

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