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そんないい人代表とも言える勇者は疑わずにウサギな彼女の元へといく。そして……まるで川のように33402体の神の代行者の流れがウサギな彼女へと向かう中、そこに迷いなく勇者は突っ込んでいった。
「さぁせええええるかああああああああああああああああああああ!!」
『勇者!』
私は思わず音量をミスったかもしれない。普段はいい感じの音量に私の声を調節して届けてくれるG-01だけど、今のは私の気持ちを汲み取ってくれたみたいな? 私が止まって! と思ったその気持ち。そのためにもうるさいくらいに、いうなれば耳キーン! となったほうが思わず止まるかもしれないって言うことで音量過多でG-01は今の私の言葉を勇者やアイに届けたようだ。
でも……アイは耳を押さえたけど、勇者はそんなの関係ねえ! と言わんばかりに止まる素振りなんて一切なかった。まあ私の本当の強制力を発揮したら、止める事はできた。だって私と勇者の関係はこっちが完全に上……だからね。
上司と部下、いや雇い主と奴隷みたいなさ。極端に言うとそこまでになると思う。だって本当に私がやろうと思えば、意思なんて関係なく思いのままに操る……ができないことはない。
なにせ勇者の体は私が与えたものだからだ。でもそんなの私は望んでない。だから普段から自由にさせてるわけで咄嗟に止めたいってときもそんなシステム的な面からのアプローチって咄嗟には出てこない。
いきなり33402体全部と戦う……なんて事はありえないわけだけど、だだっ広い場所だから多対一には簡単になる。勇者はどうなったのか……あの手で触れられるとヤバいわけで、それが一体につき二本付いてるんだよ? そもそもあの神の代行者はきっとどこからでもあの手をはやせるんじゃないだろうか?
だってさっき目玉からも出してた。となると……ね。いくら勇者が強くても無謀だ。けど……勇者は無数の腕を黄金の光で防いでた。その側にはウサギな彼女が地面にへたり込んでる。そこにまさに勇者の如く勇者が駆けつけてるのだ。
一体何回ヒーローになれば気が済むんだこいつは? とも思った。けど安心したのも事実。どうやら勇者は聖剣の力を高密度に周囲に展開して不可侵な結界を展開してるようだ。そして構えた聖剣の光がどんどんと増して。
「消えろ」
その言葉ともに横に一閃される剣が光の剣筋を迸らせて空を貫く。




