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「くっ……」

「いきなりなんてことを……」


 消滅した地上の塵の中から勇者とアイを確認する。まあ常にバイタルとかはチェックしてるから無事なのはわかってたけどね。いくらアホほど強力な存在でも、二人を簡単に滅せられるとはおもわないことだ。世界の半分を消失する力? 強力だね。


 間違いない。大抵の存在は今ので消失するだろう。でも既に勇者たちだって神に届きうる力はもってる。G-01がパワーアップしてるんだよ? 当然、それは下の方の勇者たちにまで還元される。勇者もアイも今や複数の世界のトップと同時に渡り合えるくらいには強い。


 だからこそ、その身を守ることもできた。勇者は自身の周囲に魔法的な結界をはって、アイは高出力のシールドを咄嗟に展開して防いだようだ。ウサギな彼女はびっくりして起きたようで勇者にだきついてる。


 何が起きたかまだわかってない。でも……その視線が神の代行者へと向く。そしてきっと互いの視線があったんだろう。


「あっ……ん!」


 一瞬ビクッとしたウサギな彼女。次の瞬間、彼女は……「逃げた」。なんとわかりやすいこういなのだろう。彼女ならそこそこ渡り合えそうなものだと思うけど……でも彼女は逃げた。一切の迷いのないその行動。きっと染み付いてるのか、それか決めてたのか……それだけの早さだった。


 勇者もアイも唖然としてた。本当なら反応できたとおもうけど、あまりの迷いなさと必死さに勇者の手は迷ったんだろう。でも……ここは何もない。いっただろう。消失だと。つまりはそこはもう世界が欠落してる。半分だからもう半分の部分まで届けば大地はあった。

 でも……流石に無数の命を内包してる彼女も、ウサギみたいな体してても、一足ではそこまでとどかなかった。だから落ちた。きっと彼女もわかってなかっただろう。まさか何もないなんて……だって彼女は世界が半分消えたのは見てなかっただろうからだ。落ちる彼女に真っ先に近づいたのは神の代行者だった。目が突如現れる。まずは一つ、そこに続いて本体が現れた。まるで空間を移動してるかのような移動方法。


 先に目玉が現れるんだからその間が遅延になると思うだろう。けど、勇者たちよりも早くウサギな彼女へとたどり着いてた。そして、その棒切れのような腕が彼女へと伸びる。


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