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 リファーちゃんが落としたトビウオは下に落ちていく途中でカメの甲羅の結界にはじかれた。そして……


「うわぁぁぁぁ」


 私はコクピット内でそんな声を漏らす。だってあのトビウオは何も悪くなかった。むしろ仲良くなってくれてた。それなのに、無情にも実験台にされて、そして無駄にその命を散らせてしまった。どうなってしまったのか? それは崩壊とか言うのが一番近い表現だろう。トビウオは目下の亀の世界へと行けなかったのだ。さっきの破片は多分障壁を超えただろう。そうみえた。小さいから見えづらかった? そんな訳はない。直接目で見えるリファーちゃんやミレナパウスさんだってその力で視力を強化するくらい出来る。

 いや、そもそもがリファーちゃんはなんか異常に目がいい。彼女は人間の見た目をしてるが、ただの人間じゃない。元々はメタリファーという時空間を司る概念のような存在だったわけで……それが生まれ変わった姿がリファーちゃんだから、多分だけど、リファーちゃんは「神」とかそういうのに近いと思われる。なにせ時空間を操るのにリファーちゃんは詠唱とか魔法陣とか? そんな理に干渉する儀式といえることをしない。

 実際彼女は特別だから、そんなのは必要ない……と思ってる。そしてそれは間違ってないだろう。リファーちゃんはそういう存在だから色々と人……として見るのは間違ってる。そんなリファーちゃんだからきっとあの破片の行く末だって最後まで見えてただろう。


 ミレナパウスさんはまだまだ私達の強さの基準には達してないかもしれない。でも彼女の魔法の腕は日々メキメキと伸びてる。簡単な魔法なら詠唱も必要なくなってる。それに彼女は近接戦をするために自己強化を最近はがんばってた。

 それはただの肉体の強化だけではなく、もっと細分化した強化だ。それこそ感覚だけを強化するとか出来るようになってる。だから目を強化したらミレナパウスさんには見えるはずだ。

 私も世界越しだけど見える。まあG-01はハイスペックだからね。哀れなトビウオの犠牲……それに対してリファーちゃんは「ダメか」というだけだった。


「同じ世界なのになぜでしょうね?」

「うーん、わかんない」


 リファーちゃんはあまり考えてなさそうな速さでそう答えた。ちょっとは考えてげようよ。そう思ってると、上を向いて「わかるー?」と聞いてくる。それは私に向かっていってるのだろう。私が見守ってるのはみんなわかってるからね。


 ここで私もわかんない……とはいえない。アイとかになら言えるんだけど……リファーちゃんとミレナパウスさんは私を尊敬してるからね。ここは真面目に考察するか。ふむ……前提として亀も、そしてトビウオも同じ世界の生命だ。全く違うリファーちゃんが入れないのは納得できるが、トビウオも……となると、やっぱり――


『この大きな亀の因子……それが必要なのかもしれないですね』

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