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 リファーちゃんとミレナパウスさんは断崖から下の世界を見据える。不思議なことにその大地にはうっすらと雲が浮かび、この外の世界とは別の……そうちゃんとした世界をそこに作ってるようだった。まあけどこれだけでっかいカメである。そしてサンクチュアリもあるのなら、何が起きても……ね。確かにスケールは今まで一番デカい。世界の中に世界を内包してるみたいなものだしね。

 かなりすごいが、いちいち驚いてても仕方ないから、まずはリファーちゃんは手の中に仕込んで何やら? 多分カメの破片とかそんなの? を下方に落としてみた。もしもここに障壁があるのなら、はじかれるはずである。それを確かめようした。でも……


「みえなくなった」

「はじかれない? リファーちゃんははじかれたんだよね?」

「うん。これはいけるのかな?」


 そういいつつ、再び消えるリファーちゃん。そして瞬きの間に戻ってくるとその手には銀色に輝く魚を手にしてた。自身よりもだいぶ大きなその魚を持ってるリファーちゃんはなんかシュールでなんか面白い。だって……ね。リファーちゃんの可憐な容姿に生魚って……鮮魚だよ? 鮮魚……絵面がおかしい。


「それってさっきの魚……」


 それはミレナパウスさんもよく知ってる魚だった。トビウオ……リファーちゃんとは特別仲良く泳ぎあってた仲だ。まあ何匹かいたからリファーちゃんが乗ってたトビウオなのかは正直私にはわからない。だって魚なんてみんな見た目同じだし? けどリファーちゃんはなんか心通じ合わせてた感じあったじゃん。そんな相手を……ポイッ――とリファーちゃんはカメの背の世界へと落とす。

 魚は悲鳴をあげない。そもそもが気絶してるから暴れることもなかったわけだけど……もしも意識があって、人語をあのトビウオが話せたら、命乞いしてそして断末魔を挙げてただろうことは想像に難くない。だって私……


(あわ、ひっど……)


 ――と思ったもん。あんなに楽しそうに波に乗ってたじゃん。そんな相手を……何の躊躇いもなく落とすなんて人の心ないんじゃない? まあけどリファーちゃんはまだ人間になったばかりなんだ。きっとそこら辺の機微はないんだろう。ただ純粋だから、結界の有無を確かめたかっただけだろう。でもその純粋さゆえに、残酷なことを残酷だと思わずにやってるだけだ。まさに子供だね。

 ほら子供って虫とか残酷に殺すじゃん。あれと同じだと思う。

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