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 強い……ただの二本の腕なのに、その強さは計り知れないものがあります。まさか攻撃の制御まで奪えるなんて……どこにそんな頭が? だって頭ないですよ? 頭がないのに考えて、理解して、こっちに対応して更にはこっちの動きを上回ってくるのです。

 それは頭がないと無理ではないでしょうか? 私はそう思います。ただ頑丈で強いだけじゃない。私達のことをよく見てるんです。目はないですけど。


「アイ君……このままじゃ」

「それ以上言わないでください。私だってこれは想定外です」


 勇者様とアイ様がそんなふうな会話をしてます。やっぱりお二人もあの存在の攻略には苦心してるようです。実際私ではお役に立ててない……どころか、足手まといです。一体何回勇者様に守ってもらったのか……私の代わりに勇者様がボロボロになってしまいます。

 それが心苦しくて……辛くて……私は徐々に積極的に攻撃できなくなっていきます。だって私の攻撃は意味をなしません。それなら、二人から距離を取って周囲の目玉のように観戦してたほうがいいのではないでしょうか? けどこの場から逃げ出す……というのも無理です。なにせ天井にくっついてた無数の目玉が私達の周囲にいるからです。

 戦闘の余波で何体も目玉たちは壊れてます。だって私や勇者様は近接攻撃を主体に戦ってますが、アイ様は遠距離攻撃をします。だから避けられたりしたら、勿論その攻撃は後方に行くわけで、そこにも勿論目玉は居ます。

 むしろ下の目玉の生産部分にはいかないように目玉たちは身を挺して守るほどです。


(私は……どうすれば……)


 私はもう時々ポニ子アーマーで作った聖剣のレプリカを振り回す程度になってます。それもヒットアンドアウェイです。むしろヒットしなくても一旦離れてます。追撃……ということができないです。

 だって通用しないのがわかってるからです。それに……勇者様でも、アイ様でもどうしようも無い敵……と思うと、恐怖がお腹からせり上がってくる感じがして、怖くなってしまいます。

 どれだけお二人に甘えてたんだってことですよね……私はお二人が居たから、安心して戦えてたんです。お二人は強いってわかってるから、お二人がいれば絶対に助けてくれる……それが心の余裕になってた。

 でも今の戦いではそれが期待できないから……私は恐怖を感じてあまつさえ逃げ道を探してしまう。


(私は……最低です)


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