幼少期 第六十七話
劉備の話を聞いた住人、李さんは、
「…ん?それはつまり…どういう事だ?」
と、言って劉備に尋ねたのである。
これに劉備は、
「それはつまり、村のみんなが毎回この濾過装置を使う時に、李さんがこの壺を使って良いよと言ってくれたんだと思うわけです。そうなると濾過装置を使う度に村のみんなが、李さんありがとう、李さんありがとう、と、言って李さんに感謝しながら濾過装置を使う事になるんです」
と、言って李さんに説明をした後で劉備は李さんを上目遣いで見ながら、
「どうですか?村のみんなに毎日感謝されながらの生活とか、憧れませんか?」
と、言って止めの言葉を李さんに放ったのであった。
この言葉を聞いた李さんは、
「…村のみんなに…毎日感謝の言葉を言われる生活…」
と、言ってその状況を想像すると表情をにやけさせながら、
「…つまりここで壺を使って良いと言ったら毎日感謝される生活が出来るんだな?」
と、言って劉備に尋ねてきたのである。
これに劉備は、
「はい、そうです。どうですか?そんな生活、やってみませんか?」
と、言って再度李さんに尋ねたのである。
これに李さんは、
「…そうだな…そんな生活が出来るなら、壺を渡しても良いかもな…」
と、呟いた後、すぐに劉備に、
「わかった。壺をあげよう。ただし絶対に壺に書いてくれよ?」
と、言って壺に、この壺は李さんの家の壺、と書くように条件をつけた上で壺をあげると言ってきたのであった。
これに劉備は、
「わかっています、大丈夫ですよ。それじゃあ壺を貰っていきますね?」
と、言って李さんに話したのである。
これに李さんも、
「ああ、それじゃ持ってくるよ。ちょっと待ってな」
と、言って家の中に入っていったのであった。
そうして劉備達が待っていると李さんが壺を抱えて戻ってきて、
「ほら、これが家にあった壺だよ。気を付けて持っていきな」
と、言って抱えて出てきた壺を地面に下ろしたのである。
これに劉備が、
「ありがとうございます。それじゃあ持っていくよ。そっちを持ってね?」
と、言って李さんに感謝の言葉を伝えると一緒にきた少年にそのように指示を出して壺を持ち上げたのであった。
そうしてそのまま村長の家まで壺を持って帰った劉備と少年だったが、戻った時には既に簡雍と少女が壺を持って帰ってきており、他の組が帰ってくるのを待っている状態だったのである。
そうして簡雍が戻ってきた劉備達に、
「よう、遅かったな玄ちゃん達。俺達が一番乗りだったぜ?」
と、言って勝ち誇った表情を見せたのであった。
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