筆頭10柱編① グエンナーシスの動き
三日連続更新の2日目!
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商業活動の方に力を注ぎつつ、学園では新学期がはじまり、私は一応最高学年へと進級した。
新学期の始まりは、グエンナーシス領の子達が来なかったから、延期になっていたけれど、伸ばした期間待ってもグエンナーシス領の生徒達は戻ってこなかった。
そして、グエンナーシス領の生徒不在のまま学校は再開された。
つまりカテリーナ嬢にサロメ嬢、シャルちゃんといったグエンナーシス領の生徒たち不在の学園生活。
寂しい。皆に早く会いたかった。
本当なら、今頃、桜貝の誓いをしたみんなで再会して、カテリーナ嬢に桜貝でアクセサリーを作ってもらえていたはずなのに……。
寂しい思いを抱えながらも、それでも学園は、いつも通りに授業はしているし、私たちも今まで通りに過ごしていく……。
「カテリーナ達、まだ戻ってこないな」
講堂で次の授業がはじまるのを待っていると、隣に座っていたアランがぽつりと言った。
もう、新学期が始まってから随分経過している。
そろそろ学園に戻ってきてもおかしくないはずなのに、戻ってきていない。
「……うん」
シャルちゃんたちがいない寂しさを、新商品の企画を紙にガリガリ書いて気を紛らわせていた私は、アランのつぶやきが耳に入ってしまい、力なく頷いた。
カテリーナ嬢達からもらった手紙に書かれた内容の通りなら、シャルちゃんたちに何かあったわけじゃないし、無事、だと思うのだけれど……やっぱり心配だ。色々と。
それに、アズールさんのお父さん、シルバさんに初めて会った時に言われたことが引っかかって、どうしても悪い方向で考えてしまう。
「大丈夫だよ。あの三人のことだし、そのうち領地を落ち着かせてすぐにここに来てくれるよ」
リッツ君がなんとも重苦しい空気にそうフォローを入れてくれた。
優しいな、リッツ君は。
友達が戻ってこないことに、リッツ君だって、最初はとっても落ち込んでいた。
本当はリッツ君だって、辛いはずなのに、こうやって気遣ってくれる。
「そうですね」
私はできる限り笑顔を作ってそう返したけれど、その声はとっても弱弱しくて、全然余裕の笑顔は作れなかった。
「……実は、お爺様からきいたんだが、城で慰労会のようなものを行うらしい。だから、カテリーナ達も、そのタイミングか、それまでには、王都に来ると思う。だからこれから絶対に会えないってわけじゃない」
アランがぽつりとそう切り出した。
「え? 慰労会?」
どういうこと? みんながこっちに来るかもしれない?
「いつやるのかはまだ決まってないみたいなんだが、大雨の災厄に耐えた領主達の苦労を労うために、祭りのようなものを開くらしい。そこで国から各貴族に報奨を与えるというようなことを聞いている……。だからその時には、伯爵家をはじめとした貴族が王都に集まる」
「本当ですか? お爺様から聞いたって……確かアランのお爺様って」
「俺のお爺様はずっと前から伯爵位をお母さまに譲って、城で政事をやってる要職についてる。そのお爺様から直接聞いたから間違いないと思う」
そうだ。
確かアランのお爺様は私が小間使いをしていた時から、ずっと城で働いており、魔法使いなのもあって、かなり上の地位にいると聞いてる。
そんなアランのお爺様がおっしゃる慰労会……。
あり得る話だ。城の人たちの安易な考えが透けて見える。
多分、城の人たちも、私が懸念していることと同じことに気付いてる。
グエンナーシス領は……危ない。
それは、魔物がいて危ないとかじゃなくて、王国に対する不満を感じる。
もしかしたら、グエンナーシスは、反乱のようなものを起こすかもしれない。
そういう兆しがちらほら見えている。
その兆しの一つが、私の身近なところで早速見えている。
そう、この学園に、グエンナーシス領の生徒が一人も戻ってこないということ。
確かにグエンナーシス領が魔物の災害から復興するのは遅い方だった。
私は、マッチを配給する関係上、各領地にルビーフォルン商会の人たちを派遣して、それぞれの領地の現状を見てもらっていた。
その見てもらった商会の人の話を聞く限り、グエンナーシス領の魔物の被害は他の領地に比べて甚大だった。
でも……それでも、生徒達を学園のある王都に戻す余裕がないほど回復していないはずはない。
マッチの無料配給終了のお知らせは、それぞれの領地に魔物の被害が落ち着いたころを見計らって行った。
グエンナーシス領だって、落ち着きを見せたからマッチの配給を止めている。
子供たちを学園に戻さないのは、王都に子供達をいかせないため、だとしたら?
王都に子供たちがいたら、人質みたいなものだし、何かを起こそうと思っても、何も起こせない……。
「その慰労会って、もしかして、領主は強制参加とかですか?」
私がアランにそう確認すると、アランは頷いた。
「お爺様はそう言ってた。お忙しいお母様が領地を離れるのは難しいことではないかってお爺様にきいたら、それは命令のようなものだから母様も来るしかないと言っていた」
ほぼ強制的に地方にいる貴族を集めるお祭りか。
国は、もしかしたら、グエンナーシス領が、命令を無視せずに来るかどうか……試している、のかもしれない。
国は、グエンナーシス領の動向を警戒してる。
もし招集に応じなかったら、グエンナーシス領に独立の兆しありと確定する気、とか?
いや、でも、それにしても、全員集合というのはあまりにも、うーん、浅いような気もする……。
別にグエンナーシス領に対して個別で対応すればいいだけのような気もするし。
いや、でも不満をためているのは、グエンナーシス領だけじゃないだろうから、この際一斉にってこと?
「アラン、アランのお爺様は、他には何か言ってませんでしたか……?」
「さあ、その件については、特には。もともとはレインフォレストの状況を聞きたいと言われて、お爺様に報告しに行っていた時に、たまたま聞けた話なんだ」
「そうですか……」
グエンナーシスのことは、私の考えすぎならいいのだけれど……。
シャルちゃんや、サロメ嬢やカテリーナ嬢の顔が浮かんだ。
……考えすぎということにしたいけれど、でも、これをそのまま放置したら、私の大事な友達に万が一のことだって起こり得る。
これをこのままにはできない。
私は改めてアランに向き直った。
「アラン、教えてくれてありがとうございます。それで、その、お願いがあるんですけれど……」
私はそう言って、しおしおと可愛らしくアランを見つめた。
「えっ? な、なんだ?」
「その、アランのお爺様にお会いしたいなぁ、なんて、思ったり……ダメですか?」
コウお母さんから習った男の人にいうことを聞かせる技の一つ、秘技上目遣いを駆使しながら、アランに詰め寄る。
アランは、私の秘技を前に狼狽えたように後ずさった。
「あ、うん、まあ、一応、お爺様には聞いてみるけど、忙しい人だから、俺もなかなか会えなくて……。というか、な、なんで、俺のお爺様に会いたいんだ……?」
「色々お話聞きたいですし……それに、いつもお世話になっているアランやカイン様のお爺様ですから、一度ご挨拶したいなって……嫌ですか?」
いつもよりも、心なしか声のトーンを上げて、アランを見つめる。
「い、いや、俺は別に嫌じゃないけど! む、むしろ、リョウには、その……会ってもらいたいっていうか、いや、まだそういう段階は早いとは思うけど、でもゆくゆくのことを思うと、会った方がいいだろうなっていう気持ちはあるし、だから……」
長い。
なんか、アランがグダグダとよくわからないことを言い始めた。
私はただ色よい返事が欲しいだけだったのに。
コウお母さんから教わった、男の人にいうことを聞かせる魔性の女テクを私が使いこなすには、まだ早すぎたのだろうか……。
「アラン、その、とりあえず、アランのお爺様とお会いできそうになったら、私に教えてもらえますか?」
「え、あ、うん、それはもちろん、知らせる、けど……さっきから、リョウなんか、変、じゃないか? 声の感じも、変だし……まさか風邪でも引いたのか?」
「引いてません!」
ひどい! コウお母さんから教わった魔性の女テクなのに! 風邪扱いされるなんて!
もう二度とアランの前では使わない!
こんなに頑張ったのに!
そう思って忌々しく子分を見ていると、何故かアランがほっとしたように息を吐いた。
「なんか、それでこそ、リョウって感じがするな」
なんでそんなに満足そうな顔なんだ! アランめ!
その隣で、必死に笑いを堪えている様子のリッツ君にも鋭い視線を送る。
なんていう友人達だろうか!
早くシャルちゃんに会いたい! シャルちゃんに癒されたい!
シャルちゃんだったら、『リョウ様、すっごく上手でしたよー』って優しく言ってくれるもん!
無礼な友人達に対しての不満がメラメラと燃え上がりそうだったけれども、アランは、なんだかんだで、私とアランの祖父に会わせてくれることに関しては、頷いている。
アランを通して、国の上層部の人と接点が持てるかもしれないのは、大きい。
無礼な友人たちは私の広い心で許すことに決めた。
とりあえず、グエンナーシスと国の動きをもう少し調べないと……。
アラン「い、いや、俺は転生少女の履歴書4巻の発売日が今日とか別に気にしてないけど! む、むしろ、その……読んでもらいたいっていうか、いや、まだそういう段階は早いとは思うけど、でもゆくゆくのことを思うと、買ってもらった方がいいだろうなっていう気持ちはあるし、だから……」
アランの長いダイマ!
ということで、5月31日、『転生少女の履歴書4巻』の発売日です!
いつも本当にありがとうございます!
まさか4巻まで出せたのも皆様の応援のおかげ…!ありがとうございます!
今後ともよろしくお願いします。









