22マクフォール領の実態(リント)
俺はマクフォール領の診療所に入った時から異様な匂いに気づいた。
これは毒草の匂い。多分アサセンという薬草だろう。
竜人は人間よりはるかに能力が優れている。魔力も聴力や嗅覚、目もいい。
診療慮に入ると思った通り具合の悪い患者はアサセンの摂取した時の中毒症状を起こしていた。
だが、これほど多くの領民がどうして?
俺はすぐにクレイブに連絡を取る。伝えたい言葉をクレイブの脳内に送ると俺の言葉がクレイブに伝わる。
クレイブは今も俺の近くにいるはずだ。
【クレイブ。領内に怪しい毒草の栽培がないか調べてくれ】
【了解しました】
すぐにクレイブから返事が返って来た。
俺はミルフィの助手として患者の手当てに当たった。
昼食はもちろんミルフィが作ってくれたハンバーガーという食べものに卵焼き、それにアップルパイもうまかった。
まさに至福の時だった。ミルフィは一生懸命患者の治療に当たって疲れたらしい。
マクフォールの誘いもさっさと断わってくれて俺はすげぇ嬉しかった。
気をよくした俺は嫌がるミルフィをすかさず抱き上げたが、どうやらそれが嫌だったらしい。
かなりミルフィは機嫌を悪くさせたみたいだ。
ああ、いつになったら彼女は俺に心を開いてくれるんだろう。
俺の気持ちが伝わってないのか?いや、こんなに愛を伝えてるんだ。なのにうまく行かない。
カフェでは魚料理が気になったらしく、モドリって言う魚をうまそうに食べていて俺も必死で食らいついてあ~んしてもらった。
確かにあの魚はうまかった。
その後もマクフォールがまたミルフィのご機嫌を取ろうと必死だった。が。
ったく、ミルフィのそういうところ大好きだ。嫌な事ははっきり言うってところ。
だが、俺にまではっきり言うからそこは傷つくよな。
それから食堂に行って旨いものを見つけた時のミルフィの顔がまた可愛かった。
おばさんがあの調味料に興味を示した時は焦った。
あの調味料なピュタール国にしかないしな。
それにミルフィが何かに感づいた気がした。
何だかあんなに喜んでいるミルフィを傷つけるみたいな気がして俺はとっさに薄をついたけど何だか怪しんでたな。
でも、俺があの調味料を出していると気づかれたくなかった。
あんなことが出来るのもミルフィお前と番だからなんだって言いたかった。けど‥
あまり番、番って言うとミルフィは嫌がってるってわかってるから言えなかった。
それにしても美味しそうに食べるミルフィ可愛かったなぁ‥
食堂を出るとクレイブから連絡が届いた。
【毒草の事調べました。この領地やばいくらいいろんな毒草栽培してますよ。あんなたくさんの毒草一体何にするのか?それからマクフォールは闇ギルドともつながってるみたいです。俺はもう少しこの領地の事調べるつもりですけどいいですよね?】
【ああ、そうか。やっぱりあいつ何かあると思った。クレイブ気を付けて探ってくれ】
【リントさん。竜人なめてんすっか!任せて下さい】
【ああ、ミルフィは俺が目を離さず見ておくから心配するな】
【そんなの分かってますから。大切な番ですもんね。ああ~俺も番欲しいっす!】
【ああ、俺もお前にも見つかるよう祈ってるぞ】
【マジ?俺、頑張ります!】
クレイブからの連絡はそこで終わった。
そして帰りに俺は港でたくさんモドリを手に入れるとそれをフリーズさせて持って帰ることにした。
ミルフィには内緒だ。
ミルフィの喜ぶ顔が目に浮かんで俺が一人でニンマリしてたのは間違いない。




