275食目、獣人国家アルカイナ
2日目と3日目も夕方に夜営で休憩し、朝早くからワンボックスカーで走り続け、余裕を持って獣人国家アルカイナに到着。
「あれが獣人国家アルカイナ」
「壁が高いのよ」
カズト達は、大騒ぎにならないよう獣人国家アルカイナのフォルスが治める領地の門が見える付近でワンボックスカーを降り、後は徒歩で向かう。
「これが妾の門じゃ」
「タマモの門もあるよ」
何故かタマモが言うとイヤラしく聞こえて来る。
「早いお帰りにゃ」
「その声はライファンか?」
フォルスの門から歩いて来たのは猫又の行商人であるライファン・トイヴァーン。
目利きと交渉の口利きはピカイチで、カズトも世話になっており頼りになる猫又族なのだ。
「うむ、出迎えご苦労。彼女がいち早く知らせてくれたのだ」
「いえいえ、情報収集も商人の勤めにゃ。これからもご贔屓にして貰えたらと思っているにゃ」
本当に商売上手だ。おそらく、獣妖族の王よりも剣の勇者である俺が狙いなのだろう。俺を巻き込めば、儲かる事を知っている。
正確なところは知らないだろうが、俺がこの世界ではなく地球産の品物を手に入れる術を持っていると勘づかれてると推測している。
「陛下が居るから、こっちから入るにゃ」
大きい門からではなく、ご要人向けの小さな扉から入る。入った途端、何か肌にビリッと軽く電気が走ったような感覚に襲われた。
俺だけではなく、リンカと獅子之助も感じたようだ。一瞬だけ感じただけで身体には何の異変もないように思える。
「ふむ、どうやら感じ取ったようじゃのぉ」
「これが結界にゃ。入る時は問題にゃく、出る時にコロシアムに関わる記憶を失うにゃ」
「国を囲む程、大きくなってなかったのよねぇ。コロシアムだけ囲むだけだったのに」
問題はコロシアムにありそうだ。おそらく、そこに銃の勇者であるケンゴもいるはずだ。
「残り3日と半日程度で開催されるにゃ」
「そういえば、ケンゴの事以外何も聞いてないんだが。この結界で勇者の俺達しか連れて来れなかったのは理解出来た。そのコロシアムとやらで何かやるのか?」
大体の察しはつく。剣闘士同士の決闘や奴隷か剣闘士による魔物との対戦だろう。
おそらくケンゴと誰かが決闘をする事が容易に想像が出来る。だが、どうしてそうなったのかは分からない。
「噂程度だが、コロシアムの女王と戦うらしいのだ」
「コロシアムの女王?」
なにその小学生がつけたような二つ名は!笑うのを我慢してるのに隣で今直ぐに吹き出しそうになってる人物が1人いる。
「ぶぅっ、ゲラゲラ」
「リンカ、笑ったらダメだろ」
「だ、だって………名前がダサいんだもん」
誰も言わなかった事を平然と言ってのけた。タマモとファルスもそれは分かっていたらしく、俺とリンカの顔を見ずにソッポを向いている。
「それで本当の名前は何て言うんだ?」
「それは知らん」
「ただ単に女王と呼ぶくらい。コロシアムで面会する時は、それで通じるしねぇ」
コロシアムで面会?えっ?まさか、コロシアム自体を運営してるのか?!
「今まで全戦無敗で無敵の女王よ。何年前か忘れたが、先代の王に勝利した暁に今の地位に就いたという話だ」
「タマモも見た事あるけどね、あれは戦いたくないのよ。だって、狂女戦士族だもの」
「狂女狂戦士族?!」
「女狂戦士族ってなーに?」
「女狂戦士族っていやぁ女だけしかおらん種族じゃなかったか?」
女しかいない種族であるだけに、他種族から男を攫って来ては種を貰って子供を産むという。ただし、強者に限るが入る。
「そんな相手をするのか、ケンゴは」
「ケンゴという奴は強いのか?儂は会った事がないから分からん」
「ケンゴは強いよ。ここでは龍人族だ」
ケンゴに勝って欲しい気持ちはあるが、何ぶん相手が相手だ。どっちに転ぶかはハッキリ言って予想がつかないのが正直な話だ。
「話している内に着いたのぉ。ここが妾の城じゃ」
結界の影響か?あんま意識してなかったが、フォルスが自分の城と呼ぶ場所に着いた途端に雰囲気がガラリと様変わりした。
なんと言うか、何処か別世界に迷い込んだような感覚が肌から伝わって来る。




