SS14-12、銃の勇者=《塔》~銃vs《力》その4~
アンリの別れた身体からは血は吹き出てない。【防御特化】みたいな理屈だろう。
ただし、これでもう戦えないはずだ。胴体が別れてしまえば、どんな生き物だって即死レベルのはずだが、アンリの場合は油断ならない。
【防御特化】の上位の技術である【防御超特化】みたいに【回復特化】も上位が存在するのではと。
「くっくっくっくっ、まさかコレを使わされる日が来ようとはのぉ。取って置きじゃ【回復超特化】」
マジか!それは、もう反則だろうがよ。別れた身体がくっ付く訳ではなく、別れた身体から新しい身体が生え、2人となった。
ビリビリ
「「衣服は、回復せぬのが偶にキズじゃがのぉ」」
お互いに見えてる箇所の衣服を最小限破き、ピンポイントで破った布で大事な箇所を覆った。
逆にエロく見えるが、元々露出が多い服装が故、それは誤差の範囲内だ。
「「これで良し。続きをやろうか」」
「……………」
これ、どうやって勝てば良いんだ?もう絶望しかないじゃないか。身体半分からでも再生するとか、悪夢でも見てるようだ。
「まぁここで諦めたら男じゃないな」
「その意気じゃ」
あんな超再生と呼ぶべき魔法か技術を、そうバンバン使えるものじゃないだろう。何かしら制限とか使用条件みたいのがあらはずだ。
だが、2人になって更に激闘になった。単純に攻撃回数が2倍に増えた。1人だけでも厄介だったのに、それが倍とかふざけてる。
二丁拳銃のお陰で、何とか対応出来ているが、その分威力や制度が落ちる。
「本当に不死身じゃねぇだろうな?」
「それはないのぉ。ただ、回復が物凄いだけで死ぬ時は死ぬ」
「それ程の力を持っていたら教祖様より強いんじゃ」
俺の問いにアンリは殺気染みたオーラを発した。コロシアムで戦っている間は、1度も殺気を発していなかったのに何かに怒ったようだ。
それも2人からだ。勇者じゃなかったら耐えられず失禁してるだろう。
「教祖様を侮辱したのか?」
「いや、済まない。単純に疑問に思っただけだ。他意はない」
「教祖様に勝てるイメージを持てると?余は持てぬ」
俺も持てない。何故なら、もう心が折れてるから。これから一度も逆らおうと思わない。
「《力》も負けたのか?」
「今度聞いたら殺すぞ」
笑顔が怖い。
「わ、悪かった」
きっと負けたのだろう。負けて、この忌々しい呪いともいえるアルカナを受け入れた。
さぞ悔しかったに違いない。戦闘力に重きを置く種族だからこそ、プライドが許さないが抵抗出来ずにいる。
「何か勘違いしておらぬか?別に悔しくはないぞ。強者に従うのが、我が種族の礼儀じゃ。それに教祖様より強者と会った事はない」
もしかして、心を読んだのか?!《力》は、そんな事まで出来るというのか!
「《力》の真髄は、様々な事柄を強化する事にある。神経を強化をすれば、心を読む事も容易いが、余は肉弾戦が好きなせいか、多用は出来んがのぉ」
パソコンが大量の情報を処理すると、オーバーヒートするのと同じか。脳筋に、少し考えるだけで頭が痛くなると言うしな。
「誰が脳筋じゃ!」
多用出来てるんじゃないか?それに、意味が通じてるし、教祖様から教わったのか?
「余は魔法も使えるのじゃ「【炎矢】×100」」
ちょっ!2人だから200発の炎の矢が一斉に襲って来る。だけど、こちとら遠距離攻撃のスペシャリストだ。
「水の聖銃ヴァルナ【乱打銃・雨】」
二丁の銃が合わさり、回転式の10個の銃口を持つ両手持ちである巨大な銃が現れた。
「うぉぉぉぉぉぉ」
カチッとレバーを引くと、銃口が回転し始め、そこから海を思わせるような水色の弾が間髪入れずに発射し続ける。
だが、反動もあり、機動力には欠けるのが唯一の弱点だ。勇者や女狂戦士族等のステータスが高い種族ではないと振り回せる事になる。
「全部撃ち落としたぞ」
「ぐっ……………【魔法強化】で強化した炎の矢が全てじゃと!」
信じられない表情にケンゴは、密かにガッツポーズをやった。
「強化した割には大した事なかったな。次はこっちだ雷の聖銃レールガン」
「また、あれか!」
「今日は、もうあれは撃てねぇよ。代わりにこれだ【雷精霊弾】」
雷が帯びた弾をアンリがいる方向とは違う方向へと撃つと、全体が雷で構成された騎士風な何かが出現した。




