SS14-11、銃の勇者=《塔》~銃vs《力》その3~
「うぉっ!何だこれは?!」
やっとケンゴが撃った弾の異常さに気づいたアンリ。ケンゴの龍の拳を押さえてるのとは反対の手で回転し突き進もうとする弾を鷲掴もうとした。
だが、回転が速く弾き返された。どうにかしようと、何度も挑戦するが結果は同じ、弾き返され、その間に回転が速くなり突き進む推進力も増加、アンリの身体を動かす程になっていた。
「こんな小さき物に余が動かされるとは小癪な」
ケンゴの拳を押さえていた手を離し、両手で【土回転弾】に挑むが、ガキガキと金属同士がぶつかり合うような音を響きらせながら後方へと突き進んで行く。
「さっきのお返しだ。吹き飛べ」
「うぉぉぉぉぉぉ」
ケンゴと同じく観客席の壁に当たる崩れる。瓦礫から這い出たアンリの両腕が手首から先が無くなっていた。
血は出ておらず、まるで鉄やガラスが砕けたような形状をしている。
それに脇腹は、かろうじてヒビが入った程度で抉れてはいなかった。
「ふむ、両手を犠牲にして漸く止まったわ。とんでもない物を放ったものだのぉ」
「お褒め頂き光栄です。それで、降参しますか?その手では、もう戦えないでしょ?」
【防御特化】の影響か?血は出ておらず、痛みも無さそうな表情をしている。
本来ならレフェリーが止めるであろう場面だが、ここは日本でもなければ地球でもない。魔法が存在する異世界だ。
「これか?余にとって瑣末な問題だ。こうすれば良い【回復特化】」
手が生えた?!回復の次元を超えている。回復というより再生じゃないか!
蜥蜴の尻尾は1度切れると、時間が経てば生える様に見えるが骨は再生しない。
それなのに、骨まで再生したように見えるし、尋常ないスピードで瞬時に再生しやがった。
「ヒヒっ、楽しいのぉ。何時ぶりじゃろうか。余に回復をさせたのは」
「知るか!」
超再生を持つ相手に、どう勝てば良いんだ!回復を使ってから防御を、ほぼ無視したような攻撃を繰り出す様になってきた。
俺は、【土回転弾】で手足を砕くが瞬時に再生してくる。
ここは急所である頭か心臓を狙うべきだが、硬化した腕で砕かれながらも軌道をズラされる。
「ほらほらどうした?同じ攻撃だけでは楽しくないぞ」
「うるせい。それは分かってるつぅの」
そんなヒマを与えてくれないのは何処のどいつだ!両腕両足を砕いても止まりはしない。
銃は元々遠中距離が得意な武器だ。それを、ほぼ近距離を維持しつつ間髪入れずに迫って来る。
「くっ………あんま得意じゃねぇが」
聖銃バジリスクを両手から離し、両腕を【龍化】させ、ガシッとアンリの両手を掴み力比べに挑んだ。
「余に力比べを挑むとは」
「うぉぉぉぉぉ」
純粋な腕力勝負で誰が【龍化】させたケンゴにアンリが勝てると思ったのは何割くらいだろうか?
大半は、最強種たる龍人族に、いくらコロシアムで無敗を誇る女王アンリでも勝てないのでは?と、思ったに違いない。
だが、そうはならなかった。
「こんなもんかのぉ?」
「なにっ!」
『おっとぉぉぉぉ、銃の勇者の足元が浮いたぁぁぁぁぁ』
ケンゴの足元が宙に浮いた。完璧に力負けをした。だが、これで良い。もう十二分に時間稼ぎが出来た。
「グハッ」
地面に叩きつかれたが、まだ集中力を切らす訳にはいかない。
ケンゴをやったのは純粋な力比べという名の時間稼ぎ。少しでも隙を作ろうとしただけだ。
自分の聖武器を遠隔操作する事は苦手で、アンリの死角から撃つポイントまで聖武器を浮かせ設置する事。ボソッと口に零したのは、この事だったのである。
「力比べで負けたのは癪だが、この勝負には負けねぇぜ。雷の聖銃レールガン奥義【超電磁砲】」
「いくら早かろうが避けるまで」
「避けられねぇぜ。充電するに時間が掛かるのが難点だが、1発放てれば百発百中、最速の銃弾だ」
「【聴力特化】」
放たれる音で場所を見抜き避けようと全神経を研ぎ澄ましてる様に見えるが遅い。
「避けるつもりは更々ない。受けきるまで【防御超特化】」
アンリに当たるまで1秒も掛からない。電磁を帯びた弾は、アンリに当たるのと同時に衝撃波を生み出した。
「余の最強の防御を打ち破るとは、見事なり」
アンリの身体は上半身と下半身とで見事綺麗に別れていた。




