SS14-9、銃の勇者=《塔》~銃の勇者vs《力》~
ジュリと過ごしている内に、コロシアムで開催する《力》との戦い前日となった。
そこで、今現在ジュリと共に《力》に呼び出された。明日のルール確認及び2人の状況確認をしたいとジュリを通して通達があった。
「クックックッ、随分と仲良しになったじゃないか」
「あっ、いや…………これは」
ジュリに案内されて来たのは、《力》の許可がないと入れない玉座の間だ。
玉座の椅子に《力》が座り、その両脇に護衛として女狂戦士族きっての選ばれた戦士を置いている。
そして、その一方ケンゴとジュリは恋人繋ぎで、ケンゴは照れ臭そうに、ジュリは満面笑顔で立っている。
「ジュリ、お主やったようだのぉ」
「はい、姫様。私、既成事実を作って参りましたわ」
「その話は後で、ゆっくりと聞くとして」
それは勘弁してくれと言いたいが、下手に言って護衛が反応して争いになるかもしれないから言えない。
「明日の事じゃが、ルール説明はいるかのぉ」
「何でもアリと聞いているが間違っているか?」
「概ね、そうじゃのぉ。どんな武器、技術、魔法も何でもアリじゃ。死んでもコロシアムの結界から出れば治るしのぉ。ただし、自分に掛けをするのは無しじゃ」
たまに聞く話だ。自分にトトカルチョを掛け、出場した報酬と合わせダブルで手に入れちゃおうという魂胆だ。
少しでも自分の力に自信がある者なら考え付く事だ。だが、実際はそう問屋が降ろさない。そういう輩は結界がなければ死んでいる。
「まぁ妥当なルールだな。傲慢な奴ほど早死にする」
「それとじゃな…………お主に1つ謝っておかない事がある」
謝らない事?何かされたか?と、首を傾げる。
「今回の余とお主の戦いじゃが、滅多にない盛り上がりを見せると思い、大々的に外まで宣伝してしまったのじゃ」
ちょっ!それは話が違うじゃないか!
「そこでじゃ、対策として記憶に干渉する結界を国全体へ広げる事と出力を上げる事にした。これで、国に入った途端効果が発揮する訳じゃ」
「元々ここに住んでる者はどうするんだ?」
「それは、この催しが終わったら元に戻す故、なんら問題ない。それに効果が出るのが遅くなるが、この国にいる者の関係者が外にいる場合も問題がない。その関係者も徐々に記憶が薄れていく」
良く分からないが、問題ないなら良いか?まぁ俺の任務は《力》に俺を認めせパートナーになる事。
それ以外は、何も考えるな。もし、失敗でもした暁には教祖様のお仕置が待っている。考えるだけでゾッとする。
「それで、お主は白コーナーから出るのじゃ。余は赤コーナーから出るゆえ」
「あぁ分かった」
翌日
俺は、コロシアムのステージに出る出入口に待機していた。ここからでも分かる。観客席から歓声が響いて来る。
『レディィィィィスジェントルゥゥゥゥゥメェェェェェン。長くお待たせ致しました。聞いている方もおるではょう。今宵、予定していた闘技は全部キャンセルして特別な戦いが繰り広げられる事を。ご登場して頂きましょう。赤コーナー、全勝無敗を貫き通す我がクイーンの登場だぁぁぁぁぁ』
白い煙が吹き出ると、バク転やら空中での4回転だの新体操選手も顔負けなパフォーマンスをしながら出てきた《力》。
『圧倒的な人気とその美貌。この国で知らない者などいないコロシアムの女王………アンリ様だぁぁぁぁぁ』
《力》もとい、アンリは360度観客に向けて手を振りながらステージの中央へ登る。
『そしてぇぇぇぇ、情報によりますとアンリ様の対戦相手は驚きのお相手です。では、ご登場して頂きましょう。白コーナー、魔法大国マーリンの戦いより行方不明となっていた銃の勇者ケンゴォォォォォ』
白い煙が吹き出ると、俺は歩いてステージの中央へと向かう。アンリより歓声はないが、1/3程は響いた。
それに観客席に、ちらほら知ってる顔を見つけた。恐らく、俺が出ると聞いて駆け付けたのだろう。
『これ程の好カードは中々お目見え出来ない。えぇ、今入った情報ですが…………トトカルチョの倍率が出ました。アンリ様2.5倍、ケンゴ様3.1倍と接戦してます。これは、どっちが勝ってもおかしくないぞ』
本来ならアンリの倍率が1.1倍とかにならないとおかしい。ぽっと出の俺と差が少ないのは、俺が勇者だと知られてるため。
恐らく、これも狙ってやった事なのだろうが、戦闘面だけじゃなく頭の回転も早い事が痛感出来る。




