SS14-2、銃の勇者=《塔》~コロシアム~
ケンゴは、コロシアムの受付を探した。入った直後に分かった。明らかに貴族側とゴツイ外見が多い参加者(中には真面目風な奴もいる)に分かれて並んでいる。
貴族側は、観客でチケット料金を払ってる。良い席は、それなりにお金が掛かるもので、見栄やプライドのため高い席を買おうとする傾向がある。
「俺はこっちだな」
ケンゴは、もう1つの列に並んだ。この列は、観客席のチケットを買う受付と参加者の列とは違う。その他の列だ。前者の2つ以外で要件がある時の受付だ。
まぁ大抵、トトカルチョを買う時に並ぶ烈で、それ以外は良からぬ事が多い。
「次の方。トトカルチョですか?」
これは珍しいかもしれない。普通、受付嬢は外見重視のため白い肌を求められるが、目の前の受付嬢は褐色肌だ。
「それも良いが、『コロシアムの女王』に要件があるんだ。通してくれねぇか」
「生憎、忙しい方でして、アポは取っていますか?」
アポ?そんなの取ってるはずがない。仕方ない。ここは、もう1つの名前を出すか。
「取ってない。それじゃぁ、《力》って知ってるか?」
ピクっと受付嬢の表情が一瞬強ばった風に見えたが、直ぐに笑顔へ戻った。指が差す方には出口がある。
「冷やかしなら、あちらが出口であります」
表情と態度が一致してない。笑顔だが、殺気がダダ漏れだ。一般の受付嬢が、こんなに殺気を放てるものなのか?
いや、明らかに強者のそれだ。気になるが、今問い詰めても『何の事ですか?』とトボけられるのが関の山だ。
「ハァー、まぁタネは撒いたし、あちらから接触するのを待つだけだ」
ケンゴが、コロシアムの外に出ると人混み少ない方に進み、コロシアムへ来るまでの道とは逆の方進み人影が全くない路地裏へと入った。
「うん、着いて来てるな」
気配から察して1人か?足音もせず、気配も上手く殺してるが微妙に漏れてる。
ヒタッ
「声を出さないで」
背中越しにナイフらしき刃物の冷たい感触がある。声は女みたいだ。
チラッと後ろをチラ見したらローブに深くフードを被って顔は見えない。
「そこの角を曲がりなさい」
俺は手を上げ、大人しくフードの女の言う通りに歩く。この道の端は行き止まりだ。
「そこのドアに入りなさい」
ガチャと入ると、フードの女も入る。ドアの中には、降りの階段があるのみ。
「行きなさい」
俺なら女1人取っ捕まえる事は朝飯だが、教祖様の事があるから、もう油断はしない。
階段を降った先には広い空間になっており、まるで闘技場みたいな場所だ。
「ここなら誰も来ないわ」
ローブを脱ぎ捨て、その姿にケンゴは驚愕する。何故なら、ここに居るはずがない種族だったからだ。
性別は女で褐色肌に踊り子と思わせるような露出高めな衣装を着ている種族は、ケンゴが思い付く限り1つしかいない。
「マジかよ。女狂戦士族って、希少種族の代表格じゃねぇか」
女狂戦士族は、文字通り女しか存在さない種族で、繁殖する時は他の種族から男を連れ去り子を成すという。
だが、強者しか興味なく、その結界、女狂戦士族全員が例外なく戦闘好きで戦闘の中でしか生きていられない。
それ故に希少種族になってしまった。
「それで、俺をこんなところに連れて来てどうしようっていうんだ?」
「女王に会うには強者じゃないといけないの。それに何処で嗅ぎつけたかは知らないけど、女王の秘密を知る者には死を」
油断してはならない。いくら女だからといって、女狂戦士族相手に油断しようものなら即座に死だ。
「面白ぇ。やってみな。お前に勝てたら会えるんだろうな」
「約束するわ」
女狂戦士族の戦いは、基本的武器は使わず、素手と蹴りだけで戦う。だが、その驚異的な戦闘能力で他を圧倒する。
だから、最初に誰もが間違う方法を取る。遠距離による攻撃だ。魔法や弓矢で攻撃する選択をしてしまう。
だけど、それは間違いだ。女狂戦士族相手に遠距離攻撃を仕掛けるなんて愚策、むしろ余計な隙を与えるだけだ。
「ふん、俺をそんじょそこらの奴らと一緒にするんじゃねぇよ」
だけど、それは一般的な話。銃の速度を見極める事なんて指で数えられる位しか知らない。
「それじゃぁ、このコインが地面に落ちたら開始だ」
女狂戦士族の女は、こくんと頷き、ケンゴは上空にコインを弾いた。




