SS14-1、銃の勇者=塔~獣人国家アルカイナ~
「ここが獣人の国、獣人国家アルカイナか」
獣人国家アルカイナは、上空から見ると八角形をしてる国だ。ピザやワンホールのケーキを8等分するように、それぞれ8人の王によって各領地を納められている。
そして、その中央には8人の王であれ不可侵な建物が立っている。それが剣闘士の聖地であるコロシアムがある。
そのコロシアムに用事があり、向かおうとしてるのが、この俺、銃の勇者:斉藤健吾もとい魔神教会幹部No16《塔》だ。
「ここにいるのか。俺の相棒となる奴が」
街道から遠くで見るのと、近くで見るのでは違う。まるで羅生門みたく大きな門構えで、行商人が多いようで中身の確認や身分の証明などで並んでる。
因みに門は八箇所あり、それぞれで門兵が中に入る輩の素性を確認してる。
それで身分証が必要になる訳だが、俺の身分証を出す訳にはいかない。俺は、魔神教会に捕まり行方不明という立場だからだ。
そこでだ。今、右手にあるカードを見詰める。
「リンの野郎が用意してくれたギルドカード」
もちろん偽装のカードだ。元の世界ではもちろんの事、こちらでも重罪になる。
けしてバレる事はないと言っていたが、アイツの言葉を何処まで信用していいのか分からない。
本の勇者から魔神教会へ寝返り、No1《魔術師》の力を手に入れたと思いきや、元の世界からという話だ。
つまり、ずっと俺らは騙されていた事になる。そんな奴の話を素直に聞く気になれない。
「まぁこれがなきゃ入れないし、アイツも教祖様の命令には従うしかないしな。使えないカードを渡す訳ねぇか」
門の列が進み、自分の番となった。門兵に偽造のカードを見せ、カードと俺の顔をチラチラと見てくる。
「ここには何しに?」
「決まってるだろ?ここには有名はコロシアムがあるじゃないか。観戦しに来たんだよ。それにトトカルチョがあるじゃないか。俺も一攫千金を狙いたくてね」
「ふん、通っても良いが、全部スらない様に気をつけるんだな」
バレなくて良かったぁ。大丈夫だと分かっていても内心汗ダクダクだ。
「ここが妖虎族の王が治める領地か」
妖狐族と妖鳥族の王には顔をマーリンで見られてるしな。他のところを選んだが、杞憂だったかもしれない。が、油断大敵ということもあるし、まぁ結局のところ答えが出る問題ではない。
「俺がいた龍の渓国ドライアーよりも発展してるな。こう、色んな文化が入り交じってるようだ」
龍の渓国ドライアーは詰まらないところだ。殺風景で、何もありゃしない。ただ龍の本能として宝集めを定期的に全世界規模で行われてる。その集められた宝は、国の奥底で厳重に保管されている。
俺も宝集めに駆り出された事があるが、あれはストレス発散のためにバトりたい連中のイベントだ。
何もない国にずっといて、俺でなくともストレスは溜まる。発散したくて堪らないクなるのだ。
まぁ他の国に迷惑を掛けてるが、宝集めの被害にあった国にもメリットはある。倒せば、その龍の素材が手に入る上に貢献したと認められれば溜め込んでる宝から好きな物を貰える特権が付くこともある。
だから、本来なら討伐案件に上がるだろうが黙認されている。
「折角来たし、観光をしたいが、教祖様の命令だしな。さっさと済ましちゃうか」
中央に進みに連れ、獣人以外の者達が目立って来る。こいつらの目的地はコロシアムで、観戦する側は身奇麗で何処かの貴族だと見て取れる。
その一方で、武器や防具でみっちり固めている輩がチラホラ見受けられる。
おそらく、参加する側だろう。観戦でギャンブルするのも良いが、剣闘士として参加し1儲けするという考えもある。有名になれば、貴族並に稼げると聞く。
「有名になる前に死ぬのが見えてるがな」
有名になるのは本当に1握り、99%有名になるまでに死ぬ。だが、それでも夢を諦めない輩が続々出現し消える。
それ程にコロシアムには魅力が溢れてる証拠だ。俺も剣闘士として戦ってみたい衝動に駆られるが、それはもう叶わない。
「コロシアムには着いたが何処に行けば会えるんだ?」
名前は何て言ったか?No11《力》なのは覚えてるが、流石に口に出してはいかない。
「そうだ、コロシアムの女王だ」
安直過ぎて逆に忘れるところであった。思い出したところで、受付でも探そうか。




