251食目、動くキノコのスープ
「分かった。作ってやる」
「良いんですか?」
「やったー」
見た目はあれだが、キノコはキノコだ。【鑑定】しても魔物とは出ない。ただ単に食用のキノコだと結果が出る。
それにギューとドンが言うように高級食材らしく、スープにすると美味い出汁が出て本当に美味いらしいと聞く。
まぁ俺は食べたことはない。だが、普通に魔物の肉なら食べた事はある。
例えば、豚が2足歩行したようなオークならスーパーでは先ず見かけない高級な豚肉のような美味しさ、ワイバーンなんかA5黒毛和牛なんか目じゃない程にジューシーで、もし地球で売買するなら1kg当たり1000万は行くレベル。
やはり見た目に惑わされてはダメだ。俺も日本にいた頃は、虫食に挑戦した時はある。ゲテモノはグロいもの程、美味しいと相場が決まっている。
「ただし、ギューとドン。あれを捕まえて来たらの話だ」
「本当ですか?」
「約束ですよ?」
ダァァァァァ
2人はウォーキング・マッシュを捕まえに駆けて行ってしまった。ここら辺を軽く察知すると、4匹いるらしい。
2人の実力は知らないが、ニブル王が遣わした2人で食材の楽園に入れる実力者が弱い訳がない。
バタバタバタバタ
「ハァハァ、捕まえて来ました」
「約束。これでスープを作ってくれ」
「あ、あぁ。分かった。約束だしな」
目の前で見ると、同じキノコだとは思えない。まぁ見た目で食材を判断したら料理人失格というものだ。
料理人に二言は無い。
俺と料理の聖剣エックスにかかれば、どんな食材でも調理が出来るってもんよ。
技術かは不明だが、料理の聖剣エックスを片手に構えると直感的に未知な食材でも調理法が閃いてしまう。
「よし、先ずは両手と両足で良いのか?」
まぁ両手と両足ぽく見える部分を切断。両手両足だけでも顔の長さはある。
流石に、これではもう動けまい。多少ピクピクと神経反射か?新鮮過ぎる肉みたく震えてる。
「うーんと、ここら辺か」
大きいから分かり難いが、石づきを切り取る。ここだけはキノコの中で固く食べられないところ。
「両手両足はコリコリしてて、胴体から上は旨味が十二分に出て柔らかそうだ」
石づきを切り取ると、本来なら縦に薄切りに切りたいところだが、それでも大き過ぎる。ナベに入らないし、そもそも口に入りきらない。
キノコならあんまりやらない切り方、微塵切りでちょうど良いだろう。
微塵切りと言っても適度に四角く切るだけだ。俺は、ウォーキング・マッシュを空中へ投げるとエックスを振るった。
常人には2回交差するように切ったかのようにしか見えていないだろう。その証拠としてギューとドンにもそのようにしか見えていないようだ。
だが実際は、数十の斬撃で細切りになり鍋の中へボトボトと落ちて行く。
「ドン、今の見えたか?」
「ギュー、見える訳がない」
「ふぅ、これで後は味付けしてと」
【異世界通販】で買った固形のスープの素を入れ、そこに数種の調味料やスパイスを投入する。
グツグツ
数分間、煮詰める。もう、今にでも飲んでしまいたいと思う程に香ばしい匂いが立ち昇って鼻腔を擽る。
「ドン、昨日の肉や魚も美味しかったが、これは!」
「あぁ、昨日とは比べられない程に…………じゅるり、今直ぐにでも飲みたい」
「おい、はしたないぞ」
2人の気持ちは分かる。ほぼゼロ距離で作ってる俺ですらノドを鳴らしてる。
焦がさないようレードルで掻き回しながら味の微調整をする。その度に少量ずつ味見をしてる。もちろん、2人にはバレないように。
俺が味見しているのバレたら、今にでも襲い掛かってきそうな程に目がイッちゃってる。
「よし、出来たぞ」
「ドン、ようやくだ」
「あぁギュー、食べれる」
容器によそい入れ手渡す。俺も自分の分もよそい、3人合わせていただきます。
ズーーーッゴクン
「「「うまぁぁぁぁ」」」
予想以上にウォーキング・マッシュから旨味が出てる。肉や魚ならまだ分かる。キノコからこんなに旨味が出るなんて予想を遥かに超えて宇宙にでも飛び出しそうだ。
ここまで自分を大胆にアピールして来るキノコは、そうそうない。おそらく松茸やトリュフよりも格上かもしれない。




